【絵本の紹介】「ウォーリーをさがせ!」【256冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

「懐かしい!」と思い出す人も多いのではないでしょうか。

今回は一大ブームを巻き起こした「探し絵」絵本の金字塔、その第一作を紹介します。

ウォーリーをさがせ!」。

作・絵:マーティン・ハンドフォード

訳:唐沢則幸

出版社:フレーベル館

発行日:1987年12月

 

赤と白のボーダーのユニフォーム(楳図かずおに非ず)に丸眼鏡、「つえに、やかんに、きづち」「カップに、リュックに、ねぶくろ」「そうがんきょうに、カメラに、シュノーケル」「ベルトに、バッグに、シャベル」という、旅慣れているんだかいないんだか、そして一体どこへ行くつもりなのかさっぱりわからない装備。

 

この奇人ウォーリーを、無数の人混みの中から探し出すゲームブックです。

当時は日本中で目を皿のようにして探されていたウォーリー。

誕生30周年を記念した展示会が全国を巡回中です。

 

公式HP≫誕生30周年記念「ウォーリーをさがせ!」展

 

もうすぐ大阪にもやってくるそうで、私もぜひ行ってみようと思っています。

しかし原画を一枚見るだけでも相当な時間を要しそうですな。

ごった返す人、人、人の群れ。

この中のどこかにいるウォーリーを探すのはなかなかに大変です。

そして、登場人物ひとりひとりの行動のユニークなこと。

答えを探すことだけに夢中にならず、ぜひとも絵の隅々まで楽しみ尽くしてほしいです。

 

ウォーリーを見つけたら、今度は最初に戻って落とし物探し、さらに巻末見返しには各ページのモブキャラなどを探すハードモード付。

何回でも楽しめる作者の工夫が凝らされています。

刊行から30年、シリーズ新作の他、この作品自体も何度か改編されています。

 

★      ★      ★

 

1987年と言えば、ちょうど家庭用ゲーム機が普及し、子どもの本離れが危惧され始めた頃です。

ロンドンでこの絵本を見つけたフレーベル館の編集長は、この絵本なら子どもが繰り返し読んでくれると思い、翻訳刊行を即決したそうです。

 

現代では探し絵に特化した絵本も数多く出版されていますが、「ウォーリー」の飄々としたキャラクター、そしてイラストの魅力はやっぱり一頭地を抜いていると思います。

 

どこか謎めいたウォーリー同様、作者のハンドフォードさんの絵本製作過程もあまり明らかにされておらず、フレーベル館の編集者たちにとっても謎が多いそうです。

新作が発表されるたびに編集者たちが「問題となっているものが本当に絵の中にあるのか」を懸命に確認する作業があるとか。

ちなみに、ハンドフォードさんは決して答えを教えてくれないそうです。

 

どうしても見つけられなくてイライラが募ることもありますが、「見つけた!」瞬間の快感は何とも言えませんね。

 

推奨年齢:5歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆☆

物を落としすぎ度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「ウォーリーをさがせ!

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

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豪雨災害のこと

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

先日の地震に続いての豪雨災害で、西日本は甚大な被害を受けました。

被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。

 

我が家もお店も、今回の雨によっては大した被害は受けませんでしたが、他人事ではありません。

関西を中心とした大きな地震は、いつ起こるかわかりません。

それは一か月後かもしれないし、明日かもしれないし、今この瞬間かもしれない。

 

防災意識は言うまでもなく重要ですが、いくら万全に備えていても、自然の力は時に人間の努力を簡単に凌駕します。

幼い子どもを持つ親としては、最悪の光景を想像してしまうこともしばしばです。

 

突発的な事故や災害に遭遇した時、適切に最善の行動を取るためには、常に落ち着いた心が必要です。

恐怖や苛立ち、焦燥や無気力は人間の生命力を削ぎます。

私は常々、子どもを育てるにあたって、可能な限りそういう負の感情から自由な人間に成長させたいと考えています。

 

どんな時でも、落ち込んだり取り乱したりせずに、今できる最善を成そうとする人間こそが、「運のいい人」なのではないでしょうか。

息子にはそういう人間に成長して欲しいものです。

そして願わくは、悲劇的な大災害など起こらないでいてほしいものです。

 

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【絵本の紹介】「おはなしおはなし」【255冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

子どもの頃、アフリカの昔話を集めたような絵本が家にあって、その情緒たっぷりな挿し絵に惹きつけられた記憶があります。

テキストは英語だったので、内容は絵から想像する他なかったのですが、それが逆に楽しかったんですね。

 

今回はアフリカの生活感や匂いが伝わってくる素敵な木版絵本「おはなしおはなし」を紹介します。

作・絵:ゲイル・E・ヘイリー

訳:芦野あき

出版社:ほるぷ出版

発行日:1976年9月20日

 

冒頭の文で、アフリカの民話には必ずと言っていいほど「クワク・アナンセ」という「クモ男」が登場することが紹介されています。

そしてこの絵本はその「クモの話」の由来を語ったものである、と。

 

実はこれは完全に作者のヘイリーさんの創作のようです。

そして、ヘイリーさんはアフリカの人ではありません。

 

カリブ海に住んでいた彼女は、そこに伝わる猛獣の出てくる話の起源をたどってアフリカに行き着いたそうです。

この絵本を作るにあたって、アフリカの民話と文化を学んだそうですが、本当にこんな民話がアフリカにあると思わせるのに十分な力を持った作品に仕上がっています。

アフリカでは、老人が子どもたちを集めて「おはなし」をします。

ここでも一人のおじいさんが子どもたちを前に、

さあ、おはなし、おはなし」。

 

おじいさんの話の内容はこうです。

昔々、世界にはお話がひとつもなかった。

それは空の王者ニヤメが、お話を全部しまい込んでいたから。

 

クモ男アナンセじいさんは、ニヤメからお話を買い取ろうと、クモの糸で空の上へ向かいます。

ニヤメはお話の交換条件として「ガッブリかみま」「チックリさしま」「コッソリいたずらま」を持ってくるように要求します。

アナンセは地上に戻り、「ガッブリかみま」のヒョウや、「チックリさしま」のクマンバチ、「コッソリいたずらま」の妖精を、策略を用いてクモの糸に捉えます。

そして彼らを空の王者に差し出すと、空の王者はアナンセをほめたたえ、お話の入った箱を与えます。

アナンセが村に持ち帰った箱を開けると、中からお話が飛び出して世界の隅々に散らばりました。

 

この話も、そのうちのひとつだと いうわけさ

 

★      ★      ★

 

この絵本の仕掛けの面白さは、「物語の起源を語る物語」という多重構造にあります。

単純にひとつの民話として読んでも面白いですけど(すでにそれがアフリカ民話風の創作であることは、冒頭に明かされているにも関わらず)。

 

さらには、最後におじいさんが自分の正体を明かすことで、読者は何層にも重なった物語の「糸」に絡めとられます。

クモの話だけに。

 

人間が他の動物と決定的に違う点は、虚構=物語を養分として生きるところです。

子どもたちが目をキラキラさせ、貪欲なまでに物語を求めるのは、それが食物と同じように、自分の成長に必要であることを知っているからです。

 

昔話のいいところは著作権がないことで、おじいさんが口にしたように、

気にいったはなしがあったら、だれでも、もっていってつかう

ことが許されています。

 

それは先人たちが残してくれた贈り物であり、それに対する返礼は、「次の世代に物語を伝える」ことでなされるのだと思います。

 

推奨年齢:5歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆

アフリカの味わい度:☆☆☆☆☆

 

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