【絵本の紹介】「さる・るるる」【106冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

子どもを観察していて感心させられることは山ほどありますが、中でも言葉に対する彼らの感受性・吸収力の高さにはいつも驚かされます。

 

子どもは、大人の発する言葉を単に「模倣」しているわけではありません。

彼らは言葉を注意深く(そして驚嘆すべき速度で)分析し、分類し、「仮説」を当てはめ、「応用」しようと試みます。

 

我が家の例を挙げれば、息子が2歳のころ、

ふたりぼっち

という造語を用いたことがあります。

 

これは明らかに「ひとりぼっち」から推測した「派生語」です。

(たまに見かける造語ですが、息子がそれを耳にしたことはありません)。

 

また、私たち大人は、アニメDVDなどの映像を「観る」と表現しますが、息子はそれを

聞いて、見る

と毎回のように訂正していました。

 

考えてみれば、そうした行為には「音声を聞く」作業が含まれているのだから、息子にしてみれば「見る」というだけでは「足りない」と感じられたのでしょう。

 

これらのことからも、子どもが単純に大人の言葉を「コピー」しているわけではなく、(無意識に)凄まじい知的探求心でもって、解釈し、自分のものにしようと努力していることがわかります。

 

また、子どもは「韻を踏んだ」言葉が大好きで、そういう言葉を発見すると、1時間でも2時間でも繰り返して口ずさみます。

 

それは言葉の「練習」というよりは、もっと本能的な歓びに因しているように思われます。

 

つまり、子どもにとって「言葉」とは、「意味」と「音」の美しい「調和」であるべきだ、と直感されているのではないでしょうか。

そういった、子どもの詩的とも言うべき言葉への感性は、大人には及びもつかない鋭さを持っています。

 

前置きが長くなりましたが、上に述べたようなことを考慮すれば、今回紹介する「さる・るるる」が、子どもに絶大な人気である理由もわかるような気がします。

作・絵:五味太郎

出版社:絵本館

発行日:1979年11月

 

毎回遊び心が満載の五味太郎さんの絵本。

これは、「る」で終わる動詞のみでストーリーが紡がれていく作品です。

さる・くる

さる・みる

さる・ける」…

 

こう読み始めるだけで、息子は大喜びし、さるの行動を自分でも再現します。

絵だけでもじゅうぶんに物語は読めますし、何と言っても、さるが抜群にユーモラス。

さる・える

さる・せる

あたりは、子どもには少し理解しにくい動詞ですが、細かいことは気にしない。

いずれわかります。

 

子どもにとって言葉とは、「意味」以前に「響きの心地よさ」がなければならないのです。

 

推奨年齢:2歳〜

読み聞かせ難易度:☆

読み終わった後も、必ず「る」遊びが続く度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「さる・るるる

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絵本の紹介「あいうえおうさま」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

「あいうえお絵本」というのは、ある種の定番でもあり、いつの時代も新しいものが次々に出てきます。

人気シリーズなどの企画としてもよく見かけます。

 

ただ、いくら人気のキャラクターが登場しようと、ただ50音を並べただけの「お勉強」では、子どもの気を引くことなどできません。

あくまで「絵本」である以上、読んで面白いものでなければならないのです。

 

その点を、今回紹介する「あいうえおうさま」は見事にクリアしています。

文:寺村輝夫

絵:和歌山静子

出版社:理論社

発行日:1979年

 

言わずと知れた「ぼくはおうさま」シリーズの「あいうえお絵本」です。

小学校の教材として使用されていたこともあります。

たとえば「あ」のページは、

あいうえおうさま あさの あいさつ あくびを あんぐり ああ おはよう

と「あ」のつく言葉がリズムよく並び、伸びをする王さまの背景には、「あめ」「あざらし」「あさがお」など、「あ」のつくものが色々描かれています。

寺村さんが凄いのは、それぞれのページだけで十分ひとつのお話が想像できる点。

なおった びょうきを ないしょに していて なんでも なるべく なまける おうさま

なんて、いかにも王さまらしくて、思わず笑ってしまいます。

 

もちろん、言葉のテンポや響きのセンスは言うまでもなく、同じ言葉にしても、名詞ばかりではなく、動詞、形容詞、副詞などを盛り込んでいるところもさすがです。

おなじみの和歌山さんの絵も、想像力をかきたてます。

文章に登場しない背景の絵ですが、意外と読み解くのが難しいのもあります。

「む」のページの「むちうち」とか。

 

そうしたひとつひとつの絵を読むことも楽しみです。

言葉の勉強などとかしこまらずに、純粋におもしろ絵本として読んであげれば、子どもも喜ぶし、自然と言葉を身に付けると思います。

 

関連記事≫絵本の紹介「ぞうのたまごのたまごやき」

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

「ら」のページの下の絵が謎すぎる度:☆☆☆☆☆

 

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絵本の紹介「わにがわになる」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

すぐれた絵本には、文章に韻を踏ませ、声に出して読んだときに心地よいリズムとなるよう、計算されたものが多くあります。

音楽的本能に訴えかけるのか、子どもは韻を踏んだ言葉の響きが大好きです。

 

いわゆる「ダジャレ」も、そういう言葉遊びのひとつです。

大人になると笑えなくなるような(そうでもない中高年男性も大勢いらっしゃいますが)くだらないものでも、多少無理があるものでも、子どもは大いに笑います。

それはダジャレの出来不出来を頭で考えているからではなく、耳に響く感覚で楽しんでいるからでしょう。

 

今回紹介するのは、そんなダジャレ絵本、「わにがわになる」です。

作・絵:多田ヒロシ

出版社:こぐま社

発行日:1977年2月10日

 

タイトルそのものがダジャレですが、ユーモラスな絵がその言葉の状況を説明することによって、二重に楽しめます。

はこをはこぶ

ねこがねころぶ

うまがうまれる

とか、うっかり大人が使うと軽蔑の眼差しか冷笑を向けられそうな、まごうことなき「ダジャレ」の数々。

大丈夫です、子どもはちゃんと笑ってくれますから。

 

あれはうちの息子が1歳半くらいの時でしたか、出し抜けに、

だっこ、ぺちゃんこ、れいぞうこ

と口走り、自分でゲラゲラ笑い出したことがあります。

 

こっちは親バカなものですから、

え、なにそれ、ラップ? ラッパーの才能が?

と夫婦で大騒ぎ。

 

でも考えてみればラップだってダジャレの一種です。

言葉は単に何かを意味するだけの「記号」ではなく、もっと人間の生命そのものに響きをわたらせる力のある「音」です。

自信を持ってダジャレを飛ばしましょう(周囲の反応に責任は持てませんが)。

 

推奨年齢:0歳〜

読み聞かせ難易度:☆

ベタベタ度:☆☆☆☆☆

 

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絵本の紹介「ぶたたぬききつねねこ」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は言葉遊びの絵本を紹介します。

ぶたたぬききつねねこ」(作・絵:馬場のぼる、こぐま社)です。

作者は「11ぴきのねこ」シリーズでおなじみの馬場のぼるさん。

というか、この絵本のねこが、そのまんま「11ぴきのねこ」と見た目いっしょですね。

 

タイトルで分かる通り、「しりとり」絵本です。

おひさま」ではじまり、「まど」「どあ」「あほうどり」……と続きますが、それらの絵が、ちゃんと物語になっていて、言葉のわからない子どもでも、絵を追っていくだけで楽しめるよう工夫されています。

つまり「読める絵」です。

幼い子に向けた絵本の挿絵とは、こうでなくてはならないと思います。

 

ストーリーはいくつかに分断されていて、初めは「あほうどり」が「りんご」をつつくと中から「ごりら」が出てきて、「らっぱ」を吹くと「ぱいなっぷる」が飛び出す、というもの。

わけわかりませんけど、なんだか楽しい。

自然に言葉を覚えるのにも役立ちますが、別に「おべんきょう」の本ではありません。

子どもは言葉遊びが大好きです。

たとえ完全に「しりとり」のルールを把握できていなくても、次々と言葉が紡がれていくだけで、喜んで大笑いする子も多いと思います。

 

じゅうぶん0歳から読んであげられる絵本だと思います。

もちろん、「しりとり」ができるようになってからもう一度手に取れば、また新しい面白さを味わうこともできるでしょう。

 

ちなみに、後半は冬の描写が続き、最後は「くりすます」で終わりますので、この季節の絵本としてもぴったりですよ。

 

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