【絵本の紹介】「ペンギンきょうだい れっしゃのたび」【114冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

GW間近ですね。

お出かけ予定の方も多いと思います。

 

我が家は、息子が生まれてからの3年間、遠方へ足を延ばすことはなくなりましたね。

たまに意を決して出かけてみても、疲れるだけで……。

子どもが生まれる前に、もっともっと旅行しておけばよかったと思います。

 

というわけで、今回は素敵な旅の絵本を紹介します。

ペンギンきょうだい れっしゃのたび」です。

作・絵:工藤ノリコ

出版社:ブロンズ新社

発行日:2007年5月25日

 

はい、また工藤さんのシリーズです。

大好きなもので。

 

ペンギンのきょうだい、おねえちゃん、ペンちゃん、ギンちゃん

の子ども3人だけでの、列車の旅を描きます。

ペンギンきょうだいの年齢はわかりませんが、たぶんおねえちゃんが6歳くらい、ペンちゃん4歳、ギンちゃん2歳くらいかなと思ってます。

おねえちゃんはかなりしっかりしているので、もう少し上かもしれませんが、いずれにしても、子どもだけの旅行というのはドキドキワクワクだし、一方でそれが許される平和な世界観にも癒されます。

 

お父さんお母さんに見送られて列車に乗った後は、さっそく駅弁タイム。

どうでもいい話で恐縮ですが、私はこの絵本で初めて「フルーツサンドイッチ」なるものを知りました。

列車は綺麗な海の見える駅に到着。

しかし、ここでハプニング。
ペンちゃんが切符を落としてしまった模様。

 

だから おりるまで おねえちゃんが もっててあげるって いったのに……

ない ない ない、どこにも ない!

 

子どもは切符を持ちたがるんですよね。

そして失くす。

 

水筒の中まで確認するおねえちゃんとペンちゃんの慌てっぷりをよそに、状況をよく理解していないっぽいギンちゃん。

子どもたちそれぞれの行動がリアルで、可愛い。

 

結局切符は親切なおじさんが拾ってくれてて、事なきを得ます。

駅の外には、おじいちゃんが犬ぞりで迎えに来てくれていました。

 

★      ★      ★

 

相変わらず、可愛い&おいしそう&描写が細かい。

特に、隠し要素の多さで言えば、このシリーズは工藤さん作品の中でも一番楽しみが多いんじゃないかと思います。

 

各場面でのモブたちの行動を追うだけでも、2度、3度と繰り返して楽しめる構成になっています。

切符を拾ってくれるアザラシの紳士、大きな荷物を背負ったくま、お土産を大量に買うペンギン、家族連れ、ペット連れ……。

 

このシリーズは以降、「ふねのたび」「そらのたび」「バスのたび」と続きますが、その中でいつも同じモブたちが登場し、時には交流があったりして、それぞれのセリフを想像したりするのも楽しい。

 

そして、到着したおじいちゃんの家で、きょうだいたちの荷物がどうなっているのか、お土産の中身は何だったのか、出発前のページと見比べると色々な発見が。

シリーズを通して読むと、荷物の中身が少しづつ変化してたりして、さらに面白いです。

 

ああ、旅したいなあ。

来年こそは……?

 

関連記事:≫絵本の紹介「ピヨピヨスーパーマーケット」

≫絵本の紹介「ノラネコぐんだんパンこうじょう」

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

ペンギンの子どもって言われなきゃ灰色のヒヨコにしか見えない度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「ペンギンきょうだい れっしゃのたび

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「100冊分の絵本の紹介記事一覧

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【絵本の紹介】「バルンくん」【112冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

男の子はみんな乗り物大好き。

私も、子どものころはやっぱり、クルマのおもちゃに夢中だった時期もあったようです。

ただ、大人になるにつれ、乗り物への興味は薄れて行きましたが。

 

もちろん、自動車などへの興味や愛着を持ち続けて大人になった男性も多いでしょうが、同じ自動車好きと言っても、子どもと大人の「好き」のベクトルは違っていると思います。

 

子どもは「動く」機械に対し、純粋な憧憬を抱きます。

それが大人になるにつれ、「自分が操縦する」対象として乗り物を見、その快感や全能感を求めるようになります。

 

それは自然な成長ですが、大人の中には稀に、子どもの持つ純な「自動車愛」を、そのまんま持ち続けたようなひとがいます。

 

そんな大人の一人である絵本作家さん・小森さんの作品が、今回紹介する「バルンくん」です。

作・絵:こもりまこと

出版社:福音館書店

発行日:2003年1月25日

 

何ともあたたかみのある色合い。

まさに血の通ったマシンという絵です。

 

子ども、特に男の子に受けること間違いなしの絵本ですが、読み聞かせのポイントは、もう、いかに何にも考えずに「バルバルバルーッ」とノリノリで読めるかどうかだけです。

なんか懐かしくなる絵なんですよね。

バルンくんのモデルは、イギリスのスポーツカー、オースチン・ヒーレー・スプライト。

登場する他の車たちも、全部実在するようです。

私はさほど詳しくないのですが、自動車好きのお父さんなら、一緒になって楽しめるのでは。

ストーリーもなんにもない。

走るだけ。

 

……「純」です。

男の子がミニカーで遊んでいる光景をそのまんま絵本にするとこうなるんじゃないでしょうか。

 

さあ、世の中のお父さん方、照れることはありません。

子どものころの情熱を呼び起こして、思いっきり叫びましょう。

 

バルンバルン バルバルーッ ブロブローン ウオウオーン

 

だんだん楽しくなってくるはずです。きっと。

 

 

推奨年齢:0歳〜

読み聞かせ難易度:☆

リピート率度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「バルンくん

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絵本の紹介「がたんごとんがたんごとん」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は、読み聞かせビギナーにもぴったりな一冊「がたんごとんがたんごとん」を紹介します。

作・絵:安西水丸

出版社:福音館書店

発行日:1987年6月30日

 

何と言っても、シンプルで読み聞かせやすい。

私も息子がまだ自分でリクエストできない赤ちゃんのころに、何度も手に取りました。

読み聞かせる側としても安心できるんですよね。

がたん ごとん がたん ごとん

のせてくださーい

 

安定の繰り返し展開とリズム。

 

安西さんの絵はとっても可愛くてなじみやすい。

汽車くんの表情の微妙な変化も面白いです。

 

 

だんだん増えていく乗客(?)を確認したり、画面の外に切れていて見えない部分の車両を想像したり、赤ちゃんは結構忙しく頭を使います。

できるかぎりゆっくり読んであげましょう。

 

汽車が走っているように、絵本を動かしたりして楽しむのもいいでしょう。

終点は赤ちゃんの食卓。

これからごはんなんですね。

 

今年で発売からちょうど30年。

作者の安西さんは残念ながら2年前に亡くなられましたが、この絵本は30年間ずっと売れ続けている人気作品です。

 

余談ですが、安西さんといえば、作家の村上春樹さんと親交が深く、共著や対談本なども出されています。

村上さんの小説にたびたび登場する「ワタナベノボル」という人物名は、安西さんの本名なんですよ。

 

推奨年齢:0歳〜

読み聞かせ難易度:☆

汽車の真面目度:☆☆☆☆☆

 

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絵本の紹介「はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今年の日本列島大寒波は、数年に一度のレベルだとか。

寒いはずですね。

 

積雪や路面凍結などの被害に遭われた地域の方々、本当に大変だったろうと思います。

大阪に住んでいると、いくら寒いと言ったって、大雪被害なんてものには滅多と遭遇しません。

たまに積もるとテンション上がったりして。

雪の怖さを知らないんですね。

 

ですから、大雪の時に活躍する除雪車なども、私はテレビや図鑑でしかお目にかかったことがありません。

 

今回紹介するのは、巨匠・バージニア・リー・バートンさんの「はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー」です。

文・絵:バージニア・リー・バートン

訳:石井桃子

出版社:福音館書店

発行日:1978年3月20日(新版)

 

バートンさんに関する詳しい記述は、過去記事を参照してください。

 

≫絵本の紹介「いたずらきかんしゃちゅうちゅう」

 

バートンさんは作品ごとに様々な技術を駆使しますが、この絵本ではカラーセパレーションという版画的な手法を試みています。

特筆すべきは、その細部に至るまでのこだわりの描写。

絵本の舞台は「じぇおぽりす」という町ですが、見開きでその地図を描き、番号を打って、役所、駅、学校、病院などの施設がどこに位置するかまで紹介するという丁寧さ。

 

その「じぇおぽりす」の道路管理部で働く、赤い大きなトラクターの「けいてぃー」が主人公です。

けいてぃーは力が強く、いろいろな部分品を装着することによって、幅広い仕事をこなすことができました。

 

冬が来て、けいてぃーはブルドーザーを外して除雪機を装着し、大雪に備えて待機していました。

やがて雪が降り、どんどん積もり、町が白く覆われていく中で、けいてぃーはじっと出番を待ち続けます。

 

この、「真打ち登場」までの演出が実に憎い。

雪に包まれた、ほとんど絵のない見開きを使って、淡々と語られる文。

30せんち………60せんち………1めーとる………

みちは とおれなくなり………くるまは はしれなくなり………

けいさつは まちを まもれなくなり………でんわせんや でんとうせんは きれ………

けれども そのとき ただひとり………

 

と来て、ページをめくると、真っ白な雪の中を、ただ一台で突き進むけいてぃーの姿が。

けいてぃーは うごいていました

そしてけいてぃーは、助けを求める人々の声に応じて、次々と道を付けて行きます。

郵便局を助け、お医者さんを助け、消防車を助け、飛行機を助け……。

くたびれてきても、けいてぃーは決して仕事を途中でやめたりしません。

むしろ溢れる情熱と喜びをもって自分の仕事に邁進します。

読んでいる子どもも、きっとけいてぃーの胸のうちの誇らしさを共有するでしょう。

 

★    ★    ★

 

ちょっと文が多く、話も長めですので、読み聞かせには時間がかかります。

前述の地図のページに戻れば、けいてぃーの通った道筋を確認することもできるし、細かな絵を拾いながら、子どもと一緒にじっくりと楽しんでください。

 

ちなみに、冒頭の献辞が書かれたページをよく見ると、けいてぃーの他に、「ちいさいおうち」や「マイク・マリガンとスチーム・ショベル」「いたずらきかんしゃちゅうちゅう」などの、バートンさんの他の作品に登場したキャラクター(全部人間じゃないけど)が出演しています。

 

献辞は「ジョン・フロム・ジニー」。

どうやら、バートンさんは子どもたちにではなく、夫のジョージ・ディミトリオスさんに向けてこの絵本を捧げたようです。

 

そうだとすると、これは仕事熱心なあまりなかなか家に帰ってこない夫に対する、からかい半分、感謝半分、それにちょっぴり不満を込めた作品なのかもしれませんね。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

仕事一徹度:☆☆☆☆☆

 

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絵本の紹介「ひこうじょうのじどうしゃ」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は「ひこうじょうのじどうしゃ」を紹介します。

作・絵:山本忠敬

出版社:福音館書店

発行日:1994年1月25日

 

またまた登場、乗り物絵本界のレジェンド・山本忠敬さん。

これは月刊絵本「こどものとも年少版」の1990年3月号に発表された作品で、以前紹介した「とらっくとらっくとらっく」や「のろまなローラー」とは違い、原作者はなく、山本さん自身が文も手掛けています。

 

≫絵本の紹介「とらっくとらっくとらっく」

≫絵本の紹介「のろまなローラー」

 

と言っても、この絵本には物語性はなく、タイトル通り飛行場で活躍する自動車を淡々と説明するだけの内容となっています。

 

しかし侮るなかれ。

大人が読んでも面白い。

こんなにもたくさんの種類の自動車が飛行場で働いているなど、私は考えもしていませんでした。

飛行機に乗り降りする時に使う階段のある自動車「パッセンジャー・ステップ車

荷物を下ろす「ベルト・ローダ」「ハイリフト・ローダ

飛行機の中の汚れものを集める「クリーニング・ローダ

トイレ清掃用「汚水車

点検・整備「高所作業車」「ジラフ車

飛行機のエンジンをスタートさせる「エアー・スターター車

飛行機を引っ張る「ペイ・トラクター

 

……などなど。

いやはや、勉強になりました。

「大人が読んでも面白い」と書きましたが、こんなに緻密な絵で、ひたすら自動車の解説をする絵本など、逆に子どもが読んで面白いの? と思われるかもしれません。

 

しかし、問題は全くなし。

乗り物に興味のある子どもなら、間違いなく食いつきますよ(ソースはうちの息子)。

 

それはやっぱり、山本さんの乗り物愛のなせるわざかもしれません。

いくら写実的であっても、一度画家の目を通し、筆を通して描き出された絵は、写真とは違います。

何が違うか、うまく言えないのですが、写真だとどうしても写ってしまう「余計なもの」を削ぎ落とし、「子どもが見たいもの」だけを抽出している、とでも表現しましょうか。

もちろん、写真には写真の良さがありますけどね。

 

少なくとも、幼い子どもには、写真よりも絵の方が集中しやすいということは言えるかもしれません。

 

ちなみに、我が家ではこれを息子に読むたびに、登場するすべての自動車を「作れ」と言われるので、「恐怖の一冊」でありました。

 

推奨年齢:2歳〜

読み聞かせ難易度:☆

乗り物愛度:☆☆☆☆☆

 

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