【絵本の紹介】「ぐりとぐら」【再UP】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

日本じゅう、いや世界じゅうの子どもたちに愛され続ける名作絵本「ぐりとぐら」のイラストを描いた画家・山脇百合子さんが先月29日に亡くなられたことがわかりました。

享年80歳。

 

子どもの頃から親しんだ絵本の作者との別れはいつでも深い喪失感を伴うものですが、山脇さんのあの唯一無二の画風とキャラクターを思い浮かべると、その思いは特段深くなります。

このよでいちばんすきなのは」「おりょうりすることたべること」の黄色い野ねずみ、ぐりとぐら。

あの2匹の新作はついにもう読めないのですね...... 。

 

姉の中川李枝子さんが作ったお話に、頼まれて絵を描いたことがきっかけで絵本作家となった山脇さん。

その気軽さ、肩の力の抜けたようなほんわかしたイラストは、その後ずっと変わることなく、子どもも大人も虜にする不思議な魅力をたたえ続けました。

 

絵本という媒体でしか味わえない、魔法のような世界。

ずっとずっと心に残り続ける、やさしい世界。

 

このブログでは「ぐりとぐら」シリーズ全7作をすべて紹介してきました。

今回はその記念すべき第一作「ぐりとぐら」を再掲します。

どうか最後までお読みください。

 

★                   ★                  ★

 

今回はいよいよ、みんな大好き「ぐりとぐら」を紹介します。

作者の二人は姉妹。

姉の中川李枝子さんが文を、妹の大村(山脇)百合子さんが絵を担当しています。

誕生から50年以上、21か国で翻訳され、シリーズ累計は2400万部を超えるという、ウルトラロングセラー。

その記念すべき一作目です。

 

ただ、「みんな大好き」とは書きましたが、「みんな」というのは子どもと、そして子どものころにこの絵本を読んだことのある大人を指したつもりです。

 

というのも、子どものころに読んでもらった記憶がなく、大人になってから「ぐりとぐら」を手に取った人からは、この面白さが理解できない、という声が意外に多いのです。

 

まあ、正直、ノスタルジックな気持ちを抑えて、冷静な大人の目で読んでみると、たしかに「なにがおもしろいの?」と思えなくもない。

もっと正確に言えば、「どうして子どもたちはこの絵本がそこまで好きなの?」かが理解できないわけです。

物語は、のねずみ(とてもねずみには見えない)の「ぐり」と「ぐら」が、「おおきなかご」を持って「もりのおくへ」でかけるところから始まります。

 

「このよでいちばんすきなのは」お料理することと食べることの2ひきは、どんぐりやきのこなどを拾って歩いているうちに、とても大きなたまごを発見します。

2ひきは喜んで、このたまごでカステラを作ろうと決めます。

しかしたまごが大きすぎて持ち帰れないので、この場に料理道具を持ってくることにします。

 

やがてにおいにつられて、森の動物たちが集まってきます。

そして完成。

カステラって、こんな食べ物だっけ。

と、一体何人の大人が心の中で突っ込んだことか。

 

出来上がった「かすてら」を、森の動物たちといっしょに残らず食べるぐりとぐら。

「森の動物たち」の顔ぶれは、象、フラミンゴ、ライオン、わに、蟹、猪……。

どんな森だ?

と、一体何人の大人が心の中で突っ込んだことか。

 

そんな大人の目など一切構わず、最後に2ひきは残ったたまごのからで自動車を作って(動力は不明)うちへ帰ります。

 

これでおしまい。

 

大人を拍子抜けさせるのは、この「なんにも起こらなさ」ではないでしょうか。

 

これは他の「ぐりとぐら」シリーズ通しての共通項ですが、この2ひきの物語には「障害」と呼べるほどの事件が何一つ発生しません。

私たち大人はあまりにも「主人公が穴に落ち、そこからどうやって這い上がるか(もしくは這い上がれないか)」という物語の定型に馴染みすぎているので、この予定調和が物足りなく感じてしまうのでしょう。

 

しかし、子どものための絵本にはドキドキハラハラの冒険だけではなく、この「ぐりとぐら」に代表される、安定と調和だけが存在する物語もあります。

そうした物語が子どもたちに向けて発するメッセージは、

「この世界を生きることは楽しく、素晴らしい」

です。

 

子どもの世界というのは、実は大人が考えているほど平和なものではありません。

彼らは自分にまだ人生を生き抜く力が足りないことを、無意識的であれ自覚しているし、周囲の大人に依存しなくては生きていけないストレスに晒されています。

だからこそ、「ぐりとぐら」のように、何の不安も恐れもない、ただ安心と自己肯定だけがある世界を必要としているのではないでしょうか。

 

もちろん、現実世界はカステラのように甘くはありません。

けれども、子ども時代の幸せな思い出が、その後の人生のすべての場面で、いかに重要な「生きる力」となるかは、誰もが実感することだと思います。

 

子どもの心をよく知る映画監督・宮崎駿さんが、「ぐりとぐら」をアニメ化しようとしていたそうですが、この絵本の世界を、どうしても再現できずに断念したという逸話があります(ちなみに、「となりのトトロ」の挿入歌「さんぽ」の作詞は中川李枝子さんです)。

 

また、「ぐり」と「ぐら」の見た目がそっくりで(青い方がぐり、赤い方がぐら)、セリフも交換可能で見分けがつきにくいことについて、絵本作家の長谷川摂子さんは、自著で、初めて友達を認識する3歳前後の子どもの心のありようと関連付けて分析しています。

 

そうしたことを踏まえてもう一度この絵本を見れば、絵本についても子どもの心というものについても、少し違った見方を持てるかもしれませんね。

 

 

蛇足ですが……。

読み聞かせの際、この絵本に出てくる有名な、

「ぼくらのなまえはぐりとぐら♪」

の歌に、どうメロディをつけるかですが、私は

「ごんべさんのあかちゃんがかぜひいた♪」

のメロディが一番うまいこと(?)歌えたように思います。

 

オリジナルを作曲できるセンスがないので。

 

★                   ★                  ★

 

「ぐりとぐら」はこれから先も何世代にもわたってずっと読み継がれていくでしょう。

何故ならこれほどまでに子どもの心をとらえることに成功した絵本というのは世にも稀だからです。

 

以後のシリーズの記事も読んでいただけると嬉しいです。

 

 

≫絵本の紹介「ぐりとぐらのおきゃくさま」

≫絵本の紹介「ぐりとぐらのかいすいよく」

≫絵本の紹介「ぐりとぐらのおおそうじ」

≫絵本の紹介「ぐりとぐらとくるりくら」

≫絵本の紹介「ぐりとぐらのえんそく」

≫絵本の紹介「ぐりとぐらとすみれちゃん」

 

山脇百合子先生のご冥福を心からお祈りします。

素晴らしい時間を本当にありがとうございました。

 

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

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【絵本の紹介】「14ひきのもちつき」【356冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

ねずみ年最初の絵本紹介は、大人気「14ひき」シリーズより「14ひきのもちつき」です。

作・絵:いわむらかずお

出版社:童心社

発行日:2007年11月

 

ねずみを主役にした絵本って、国内外問わず本当に無数にあるんですけど、それだけねずみが人間の暮らしに近しい生き物だったってことでしょうか。

今ではもう、屋根裏をねずみが走り回るなんて家はなかなかないでしょうけど、昔は当たり前のように家にねずみがいたんですよね。

 

私は子どもの頃に祖母の家で「ねずみの音」を聞いた記憶があります。

私はびっくりしましたが、祖母は何でもない様子でした。

彼らねずみたちは人間の家に間借りして生活しているわけです。

そこで彼らがどんな生活をしているのか、何を話しているのか……想像し出すと楽しいものです。

そうは言っても、もし今実際に我が家にねずみが出たら即駆除しますけど。

 

「14ひき」はそうした懐かしい日本の暮らし、自然の中で地に足を付けた生活というものを思い出させてくれるシリーズです。

今回はタイトルどおり「おもちつき」。

今の子どもたちは餅つきに使う道具や手順など何も知らないのではないでしょうか。

そういう私も知りません。

 

いわむらさんの丁寧でぬくもりのある描写によって、14ひきたちがもちつきの行程を余すところなく見せてくれます。

お米の下準備から、臼の下にしくわらの座布団まで。

例によって兄弟たちはそれぞれのキャラクターに合った行動をしています。

家族全員での大作業。

おもちつきはこんなに手間がかかるからこそ楽しく、そしておいしい。

食べ方も色々。

お正月気分が抜けなくなります。

 

★      ★      ★

 

今の子どもたちって、スーパーで売ってる冷凍の四角く切ったおもちしか知らないんじゃないでしょうか。

町内でのもちつき大会なんかはまだ残ってるけど、一からもちつきをする家庭なんて少ないでしょうね。

 

14ひき総出であれだけ大変なんですから、核家族化が進んだ現代では、とてもとても。

でも、こんな絵本を読んでしまうと、やっぱり「やってみたい」となるのが人情です。

子どもにも経験させたい。

そんなわけで、何気なくネットで臼と杵の値段を調べてみて腰抜かしました。

 

冷凍おもち万歳。

便利だし、なかなかおいしいし。うん。

 

しかしながら、実は毎年少なからぬ人命(主にお年寄り)を奪う危険な食べ物でもあるおもち。

犠牲者の数からするとふぐより怖いのです。

気を付けましょう。

 

あれ、なんでこんな物騒な話になったんでしょうか。

ほっこりしたお正月絵本紹介のはずだったのに。

臼と杵が高すぎるからですかね。

 

新年早々、着地に失敗した感。

 

関連記事≫絵本の紹介「14ひきのひっこし」

≫絵本の紹介「14ひきのぴくにっく」

≫絵本の紹介「14ひきのかぼちゃ」

≫絵本の紹介「14ひきのさむいふゆ」

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆

おじいちゃん心配度:☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「14ひきのもちつき

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【絵本の紹介】「からすのパンやさん」【239冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今月2日に、絵本作家の加古里子さん(本名・中島哲さん)が亡くなられていたことがわかりました。

死因は慢性腎不全だそうです。

 

92歳。

緑内障や腰痛といった持病を抱えながら、今年に入って「だるまちゃん」シリーズを3作同時発表したり、亡くなる直前まで精力的に創作活動を続けておられました。

 

哀悼の意をこめて、今回は「だるまちゃん」と並ぶ加古さんの代表作「からすのパンやさん」を紹介します。

作・絵:かこさとし

出版社:偕成社

発行日:1973年9月

 

説明不要のロングセラー。

この絵本を読んで育った世代が、今、自分の子どもに読んであげているのではないでしょうか。

 

かく言う私もそんな加古さん絵本で育った一人。

もっとも、子どもの頃は絵本作者の名前なんて意識していませんでしたが、とりあえずこの「かこさとし おはなしのほん」装丁の絵本は全部おもしろいということは知っていました。

 

「だるまちゃん」シリーズにも共通しますが、加古さんの絵本には細かい絵をじっくり鑑賞する楽しみがあります。

この「からすのパンやさん」は特にそれが顕著で、テキストも優秀ながら、それを遥かに上回る情報量の絵に圧倒されます。

 

私は保育所でこの絵本を見たのですが、先生に読み聞かせてもらうたびに、最大の見せ場であるずらりと並んだ変わりパンのページを一人で心ゆくまで見尽くしたいという欲求に駆られた記憶があります。

それは他の友達も同じだったようで、自由時間には「からすのパンやさん」の争奪戦が繰り広げられていました。

 

いずみがもりの くろもじ さんちょうめ」にあるからすのパンやさん。

そこに生まれた4羽の赤ちゃん。

それぞれの体の色にちなんで「オモチちゃん」「レモンちゃん」「リンゴちゃん」「チョコちゃん」と名付けられます。

子育てと仕事に追われるからす夫妻。

経営はうまく行かず、家はだんだん貧乏に。

 

しかし、子どもたちがきっかけとなり、新しい変わったパンを焼いたところ、一気に評判に。

 

そこで、一家は子どもたちの意見も取り入れ、さらにたくさんの変わりパンを焼くことにします。

さあ、からすの森では、朝早くからパン屋に向かうからすたちで大騒ぎ。

噂が噂を呼び、騒ぎはますます大きくなって、何だかよくわからない人々や、警官隊や消防隊員まで一路パン屋を目指します。

からすのお父さんはこの大混雑をうまく誘導し、きっちり並ばせてパンを売りさばきます。

 

★      ★      ★

 

やや子どもには耳慣れない言葉も取り入れたテンポのいい文章、勤労の喜び、家族の絆……色々な魅力が詰まった作品ですが、何と言ってもパンの豊富さ、そして登場人物の多さが楽しい。

 

脇役のからす一羽一羽を個性豊かに描き分け、よく見ると表情もそれぞれ違います。

こういう加古さんの仕事にはいつも敬服させられます。

 

加古さんはその卓越した観察眼を活かして、科学絵本も多数手がけています。

子どもに何を伝えるべきなのか、どうすれば子どもひとりひとりが正しい判断のもと生きていけるのか。

そんな加古さんの子どもへの思いの原点は、自身の戦争体験にあると言います。

 

戦争を体験した絵本作家もどんどんこの世から去っていくのだと感じるとき、まさに今、子どもを育てる世代の人間として責任を考えさせられます。

彼らが残したもの、伝えたかったことを、きちんと次の世代にバトンタッチできるでしょうか。

今はただ、日本絵本界の長老的存在を失くしたという深い喪失感に打たれています。

 

体調を心配する家族に「少し休んでは」と言われると、「死んでから休む」と答えた加古さん。

どうか、ゆっくりと休まれてください。

ご冥福をお祈りします。

素晴らしい作品をありがとうございました。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆

アイディアの豊富度:☆☆☆☆☆

 

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【絵本の紹介】「いちご」【204冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

世界で活躍する彫刻家の新宮晋さんという方がいます。

彼の作品は風や水といった自然エネルギーでのみ動きます。

 

現在、兵庫県の県立有馬富士公園にて、新宮さんの彫刻12点が展示されています(風のミュージアム)。

 

新宮さんは絵本も描かれており、それらは自然を見つめ続ける芸術家の精神が生き生きと伝わる作品ばかりです。

今回紹介する「いちご」は、彼が初めて世に出した絵本です。

作・絵:新宮晋

出版社:文化出版局

発行日:1975年5月10日

 

内容はまさに「いちご」賛歌。

それも、新宮さん独特の感性によって「いちご」をどこまでも深く見つめたものです。

 

デッサン風のイラストも迫力ですが、言葉のセンスも脱帽もの。

本当は1画面ごとに語りたいくらい。

また、テキストは日本語・英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語でそれぞれ書かれています。

 

まず、最初と最後の見開きページをグレー一色にして、同じフレーズで締めるという演出。

いちごの生長の中で、いちごと同化して、いちごと同じ景色を見ているような気分にさせます。

雪の中で眠る。静かに。静かに。

こごえる夜 数えきれないほどの星を見る。

風が光をはこんでくる。

太陽が金の雨を降らせる。

みごとな夕やけを見た。もえるような赤に心がときめいた。

という、見開きを赤一色に染めたシーンの印象的なこと。

 

そして、

赤い実のまん中には 太陽のとどかない 白いつめたい世界がある。

いちごに対してこんな文章、ちょっと他に書けるひといないんじゃないでしょうか。

この絵本には、視覚だけでなく、五感すべてに訴えかける力があります。

新宮さんは意図的にそうしています。

 

ほら、本を閉じると、いちごの冷たさや、甘い香りが感じられるはずです。

 

★      ★      ★

 

私はこの絵本を読むと、ゲーテの自然研究法としての「直観」を思い浮かべます。

ゲーテは自然を観察する際、主観や偏見を排し、「ありのまま見る」ことで自然の背後にある秘密を解き明かそうとしました。

 

理性的な思考だけで物事を捉えては、真実が曇らされてしまうとゲーテは感じたのです。

自らも自然の一部となり、自然に向き合うとき、自然はその秘密を語ってくれるのです。

 

新宮さんの表現の中には、そうした「直観」でしか把握できないような「いちご」の姿が描き出されています。

新宮さんはいちごを「星」と表現します。

 

いちごには北極がある。南極がある。その間には金の鋲が打ってある。

 

地球に生まれ育ったものはすべて、地球からの力と、太陽に代表される宇宙からの力の影響に晒されています。

その結果として作り出されたいちごの形態が「地球の模造」であることに思い至る時、私は「いちご」を美しいと思わずにはいられません。

 

クリスマスシーズン、ケーキの上に乗った「いちご」を口にする前に、その美しさに思いをはせてみてください。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

いちご愛度:☆☆☆☆☆

 

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【絵本の紹介】「なにをたべてきたの?」【117冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

我が家の息子は食いしん坊。

ほとんど2時間おきに「おなかすいた」を連発。

 

よく食べるのはいいけど、新しいものには意地でも手を出さず、そのたびに母親と衝突しています。

 

子どもが野菜を嫌うのは、まだ味覚が発達していないから、という説明がありますが、むしろ子どもの方が大人より味覚が鋭いという話もあります。

つまり、子どものうちは苦味や酸味など、体に危険なサインを出す食べ物を拒絶していたのが、大人になるにつれ味覚が鈍くなることで食べられるようになるということです。

 

してみれば、むしろ退化することによって食の幅が広がるわけです。

 

しかし、うちの子を見ていると、嫌いな食べ物のほとんどは「食わず嫌い」です。

味覚関係ないやん。

 

そう、食欲には味覚以外の五感も大いに関係します。

嗅覚はもちろん、ひとは視覚でも味わっているのです。

 

今回紹介するのは、食べ物の色彩が非常にきれいなロングセラー「なにをたべてきたの?」です。

文:岸田衿子

絵:長野博一

出版社:佼成出版社

発行日:1978年5月26日

 

お腹を空かせたしろぶたくん。

りんごを見つけて食べると、お腹が鮮やかな赤色に染まります。

続いてレモン、メロン、ぶどうを次々に食べ、そのたびにしろぶたくんの体は大きく(というか長く)なり、お腹にそれぞれの果物の色が浮かびます。

最後には石鹸を見て、

これを たべたら もっと きれいになるかな?

と、呑み込んでしまいます。

もちろん、ひどいことになります。

 

でも、お腹の色が混ざり合い、虹色のシャボン玉になって鼻から抜けていく場面は子どもにも大人気。

 

★      ★      ★

 

文は「かばくん」の岸田衿子さん。

リズミカルで楽しい文章は健在です。

 

自分以外の生命を取り入れる。

食べるということは、考えてみれば不思議な行為です。

 

「大きくなるために」

「丈夫になるために」

食べるのだ、という表現は、子どもにはいまいちピンとこなかったりします。

 

子どもにとって「食べること」は、この絵本のように「色と詩」の世界として認識されているのかもしれません。

 

推奨年齢:2歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

豚の種類に対するこだわり度:☆☆☆☆

 

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