【絵本の紹介】「ぐりとぐらのおおそうじ」【131冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今日は5月30日。

「ごみゼロ」の日ということで、お掃除の絵本を選びました。

久々にあの二匹に登場してもらいましょう。

ぐりとぐらのおおそうじ」です。

文:中川李枝子

絵:山脇百合子

出版社:福音館書店

発行日:2002年2月1日

 

このブログではこれまでに「ぐりとぐら」「ぐりとぐらのおきゃくさま」を紹介しました。

あれこれ勝手なことを書いてます。

 

≫絵本の紹介「ぐりとぐら」

≫絵本の紹介「ぐりとぐらのおきゃくさま」

 

この「ぐりとぐらのおおそうじ」は、初版発行日が2002年と、シリーズの中では比較的新しい作品ですが、もともとは同作者の「おひさまはらっぱ」(1977年初版発行)という童話絵本がありまして、これはいくつかのエピソードに分かれた短編集ですが、その中の一話「ぐりとぐらの大そうじ」を加筆修正し、福音館書店50周年記念出版として刊行されたものなのです。

 

シリーズには毎回ゲストが登場しますが、今回は「ギック」という、ぐりとぐらワールドでは珍しくカタカナ名のうさぎが出てきます。

しかも、他のゲストキャラがその作品を通して初めてぐりとぐらに出会うのに対して、このギックはもともと二匹の友達という設定になっているところも珍しいです。

 

実はこの「うさぎのギック」は、前述の「おひさまはらっぱ」に収録されているエピソードのほか、「たからさがし」など、中川さんと山脇さんの他作品にも登場するキャラクターなのですね。

 

―――朝起きて、カーテンを開けるぐりとぐら。

外はいいお天気で、窓を開けると春のにおい。

 

でも、うちの中がほこりだらけなことに気づくと、二匹は「きょうの しごとは、おおそうじ」。

マスクやゴーグルを装備し、掃除道具を取り出そうとしますが、ほうきもはたきもぞうきんもボロボロで使い物になりません。

そこで、二匹は奇想天外な掃除方法を思いつきます。

ぐりは穴の開いたセーターなどのぼろきれを体に巻き付け、床の上を滑って雑巾がけ。

ぐらはシャツやタオルを束にして、足にくくり付け、手に持って、ほうきとはたきを担当。

 

そこへうさぎのギックがやってきて、窓の外から中を覗きます。

ぐりとぐらの姿を見たあわてんぼうのギックは、おばけだと思って逃げ出し、友達を呼んできます。

みんなが来る頃には大掃除は終わっていて、うちの中はすっかりきれいに片付いていました。

ちょうどおやつの時間ということで、みんなは「とくべつ おいしい ぐりと ぐらの にんじんクッキー」を食べます。

 

★      ★      ★

 

こんな大掃除なら、楽しいでしょうね。

小学校で、みんなでふざけながらやる大掃除の時間は、ちょっとしたお祭り気分だったのを思い出します。

 

……ま、実際にぐりとぐら方式で掃除をしても、まずきれいにはならないでしょうけどね。

 

子どもにどうやってお片付けをさせるか、どこの家庭でも悩みどころだと思います。

そもそも子どもには「片付ける」という感覚がありません。

我が家の息子も、散らかしっぱなしの出しっぱなし。

おもちゃ一つを取り出すのに、おもちゃ箱を全部ひっくり返すし。

 

妻などは少々潔癖症なところもあり、普段は我慢していても、時には「イーッ」となってます。

大きな箱を用意して、そこにおもちゃをぶち込めるようにし、「一緒にやろう」と遊びの延長のように誘ってみたり、あれこれ試行錯誤してはいますが、本人は半ば意地になって片付けようとしません。

 

私の結論としましては、「いいんじゃないの、別に」です。

そりゃあ、汚いよりきれいなほうが気持ちはいいし、整理整頓は大切な習慣かもしれませんが、子どもに価値観を強制しないのが我が家の方針ですので、それとなく誘導しても本人がその気にならない以上、諦めるよりないように思います。

第一、自分自身の子どものころを鑑みても、他人のことをどうこう言えるようなもんじゃなかったし。

 

ただし、自分で片付けできる年齢になったら、子ども部屋の掃除は完全に本人に任せるつもりです。

それで本人が汚さに我慢できるなら、つべこべ言う気はありません。

あくまでも自分から、掃除の大切さに気付いてほしいものです。

 

……でも、絶対妻が我慢できなくて掃除しちゃうんだろうなあ。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

参考になる掃除術度:☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「ぐりとぐらのおおそうじ

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「100冊分の絵本の紹介記事一覧

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【絵本の紹介】「パンやのくまさん」【102冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

小学校で使われる道徳の教科書の検定で、「パン屋」を「和菓子屋」に修正するという、「何それ戦時中?」なニュースを受けて、パン屋さんを応援するべく(そういう話じゃないですよね)、今回は「パンやのくまさん」を紹介します。

作・絵:フィービー&セルビ・ウォージントン

訳:まさきるりこ

出版社:福音館書店

発行日:1987年5月30日

 

幼稚園〜小学校低学年の子どもの「なりたい職業」ランキングでは、必ず上位に入ってくる「パン屋さん」。

しかしあれ、本気ですかね?

 

そんな年齢で、具体的な職業まで主体的に思い描いてるような児童は全体の何%くらいでしょうか。

私自身は、そんなことを考えられるような子どもではありませんでした。

 

たぶん、かなりの子が、「わかんない」と先生なり保育士さんなりにアドバイスを求め、「たとえば、パン屋さんとか〜」と言われてそのまんま書いた(あるいは、他の子に倣っただけ)というパターンなんじゃないかと思っています。

 

現に、もう少し大きな子になると、一転、スポーツ選手や芸能人などの華やかな分野に人気が集中します。

しかし、大人たちはそういう「大きな夢」を煽り立てすぎじゃないでしょうか。

 

大きな夢はもちろん結構ですが、そういう煌びやかな職業ばかりを「夢」としてイメージしてしまうと、現実的な仕事、地道な仕事が、子どもにとっては灰色に見えてしまうことになるかもしれません。

 

大人たちは、地に足を付け、まっとうに働くことが尊く、楽しく、喜ばしいものであることを、もっと子どもたちに伝えるべきだと思います。

 

というわけで、今回の「パンやのくまさん」を必読書として薦めるわけです。

 

これは、とあるパン屋のくまさんの一日を、ドキュメンタリー形式で描いた作品。

朝早くに起きて、かまどに火を入れ、開店準備をするくまさん。

 

焼けたパンを半分は店に並べ、もう半分は車に積み込みます。

そして行商。

 

また、宅配もひとりでこなし、店に戻って通常営業。

 

とても礼儀正しいくまさんは、近所からの評判も上々。

閉店後の売上計算まで、きっちり見せてくれます。

 

お金を大事にしまうと、ベッドに入って眠ります。

明日も早いですからね。

 

★      ★      ★

 

もう、ほんとに、ただただ淡々とくまさんの一日を追いかけるだけで、何の事件も起きません。

 

それなのに、読み終わると、なんだか、こつこつ働くっていいな、パン屋さんになってみたいな、と思ってしまうんですね。

仕事の合間にお茶を飲む姿に、人生の幸せを感じたり。

 

作者の主観や登場人物の感情をほとんど入れず、事実のみを語る文章は、「ちいさいじどうしゃ」のロイス・レンスキーさんに近いものがあります。

 

≫絵本の紹介「ちいさいじどうしゃ」

 

この「くまさん」シリーズは他に、「せきたんやのくまさん」「ゆうびんやのくまさん」「うえきやのくまさん」などがあります。

 

ところで、最近の漫画を見ていると、今まではあまり内情を知られていなかったような、目立たない職業を題材にした作品が、どんどん出てきているのを感じます。

作品が人気になれば、その業界もあっという間に盛り上がります。

ですから、どんな分野にせよ、アピール次第で人材は集まってくるものだと思います(もちろん、事実に基づいていることが原則ですが)。

 

どんな仕事にも、面白いところがあって、そしてそれは真面目に取り組むことによって生まれるもの。

 

くまさんのような大人を見て育った子どもは、「丁寧に生きること」の素晴らしさを、自然と学ぶことになるでしょう。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆

実は中におっさんが入ってるんじゃないの度:☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「パンやのくまさん

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絵本の紹介「ぐるんぱのようちえん」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は「ぐるんぱのようちえん」(作:西内ミナミ、絵:堀内誠一、福音館書店)を紹介します。

作者の西内さんにとっては、これが最初の絵本で、いきなりのヒットでした。

絵を担当している堀内さんは、グラフィックデザイナーとしてカメラ雑誌、ファッション雑誌などの編集美術に携わり、一時代を画した人。

子どものための本も多く手掛けています。

 

ひとりぼっちの大きなぞうのぐるんぱは、およそ生きる気概というものを持っていません。

すごく きたなくて くさーい においもします」という、妙に生々しい存在感。

 

見かねたジャングルのぞうたちが、ぐるんぱをきれいに洗って、働きに出すことにします。

最初ははりきって出かけたぐるんぱでしたが、ビスケット屋さん、お皿屋さん、靴屋さん、ピアノ工場、自動車工場と、行く先々で毎回大きすぎるものばかり作ってしまい、「もう けっこう」と解雇されてしまいます。

意気消沈して、昔のように泣きそうになっているぐるんぱに、12人もの子どもの世話に大忙しのお母さんが声をかけます。

ちょっと すみませんがね、こどもと あそんでやってくださいな

そこで、ぐるんぱがピアノを弾いて歌うと、子どもたちは大喜び。

ぐるんぱはついに天職を見出し、幼稚園を開くのでした……というお話。

 

すごいと思いませんか?

この絵本ができたのって、1965年ですよ?

まさに、現在の「引きこもり」や「ニート」問題に斬り込んだ、あまりにも時代を先取りし過ぎた内容です。

 

いや、冗談抜きで、この絵本には「社会に出ること」「働くこと」について、重要な示唆が含まれてます。

天職とは、「誰かに必要とされる」ということです。

自分に何が向いてるかは、自分ではなかなかわからないものなんです。

 

だからこそ、ただ引きこもっていたのでは、いつまでたっても仕事を頼まれたりしません。

ぐるんぱは自ら懸命に動き回り、失敗を重ねたからこそ、最後に子どもたちに巡り合えたのです。

そして、その時初めて、今までやってきたことを生かすことができたのです(大きなお皿はプールに、大きな靴は遊具に、大きなビスケットは子どもたちのおやつになります)。

 

面倒でも、傷ついても、見知らぬ人々のところへ出て行って、社会とつながりなさい。

現代の子どもたちにこそ、こんな「ぐるんぱ」のメッセージを伝えてほしいと思います。

 

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絵本の紹介「はじめてのおつかい」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回紹介するのは、「はじめてのおつかい」(作:筒井頼子、絵:林明子、福音館書店)です。

タイトルの通り、はじめて一人でおつかいを頼まれた5歳のみいちゃんが、牛乳を買いに行くお話。

転んでお金を落としてしまったり、緊張のあまりお釣りをもらい忘れたり……。

 

同じくらいの年の子どもには我がことのように、そして読み聞かせる大人は、自分の子を見守るような気持ちになったり、自分自身の子ども時代を思い出したりと、親子そろって引き込まれる名作です。

幼い子どもの心情をとても繊細に描き出しています。

けれども、この絵本ができたのが1976年。

今でも愛されるロングセラーではあるものの、やはり時代は変わったと感じざるをえません。

 

たとえ近所であろうと、現代では5歳の娘をひとりでおつかいにやったりしたら、母親の方が世間から非難されるかもしれません。

それだけ物騒な世の中になってしまったんですね。

でも、必ずしも「おつかい」である必要はありませんが、子どもにひとりで何事かを成し遂げる経験をさせることは大切です。

どんなに小さくても、子どもにもちゃんと自尊心はあります。

人前で叱られたら、受けなくてもいい傷を受けることになります。

反対に大人に感心されたら、嬉しくなってもっと自分にできることを探すようになります。

 

この絵本のみいちゃんは、おつかいに行く前と帰ってきた後とでは、まるで別人のように成長しているはずです。

それは文では説明されていませんし、絵を見てもわからないかもしれません。

しかし、子どもの目で見れば、たしかにみいちゃんは変化しているのです。

本当に注意深く観察していれば、読んでいる子どもの表情も、終わった後では微妙に変化しています。

 

また、この絵本には隠された楽しみがいくつもあります。

みいちゃんの家のポストの名前が「尾藤三」(おとうさん?)だったり、牛乳を買うお店の名前が「筒井商店」、絵の教室の先生の名前が「はやしあきこ」(作者二人の名前ですね)だったり。

また、掲示板に探し猫の貼り紙があるのですが、じつはよく探せば、絵本のどこかでこの猫を見つけることができるんです。

 

そんな林明子さんの遊び心がいっぱい詰まったこの作品、やっぱり時代は変わっても、これからも親子そろって楽しめる名作であり続けるでしょう。

 

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