2018.12.10 Monday
【いわさきちひろ特別展】「生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。」に行ってきました【美術館「えき」KYOTO】
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
JR京都駅にある伊勢丹7Fの美術館「えき」KYOTOで開催中の展覧会「生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。」を見に行ってきました。
童画家・いわさきちひろさんの生誕100年を記念した特別展です。
彼女を知らない人はいても、彼女の絵を見たことのない人はいないんじゃないでしょうか。
いわさき作品自体は非常に様々な場所で目にすることができるし、個人の美術館「いわさきちひろ絵本美術館」や「安曇野ちひろ美術館」などもあり、戦後絵本作家の中でもどこか別格の扱いを受けている感があります。
けれど、彼女の生い立ちや絵本作家以外の顔については、知らない人が多いのではないでしょうか。
今回の展覧会では、彼女の生涯と絵の変遷を時系列を追って見ることで、単に「あの、可愛い絵を描く人」という認識から、いわさきちひろという女性の生き生きとしたキャラクターに迫ることができます。
1918年に生まれ、裕福な家庭に育ち、大正デモクラシーの風潮の中で生まれた自由な学校(テストも通知票もない)に通い、絵が得意なのはもちろん、スポーツ万能で活発な少女だったいわさきさん。
しかし、その少女時代には太平洋戦争が影を落としています。
宮沢賢治への傾倒から入党した日本共産党の「人民新聞」にイラストや記事を書いたり、書の道でも相当なセンスを見せたり、実に多岐にわたってその才能を発揮したいわさきさんですが、彼女が生涯通してテーマとして掲げ続けたのは「子どもの幸せと平和」です。
その根っこには、やはり自身の戦争体験が大きく影響しているのでしょう。
画家への夢は両親の反対や不幸な結婚によって一時は断念しますが、画家・中谷泰の「水浴」という作品に出会ってから、彼のもとに師事し、再び絵の道を歩み出します。
いわさきさんの絵と言えば、独特の滲んだ色彩による黒目がちな子どもの絵が思い浮かびますが、当時の作品には油絵もたくさん残っています。
展覧会では、あまり私たちになじみのないはっきりした輪郭のデッサンも数多く見ることができます。
いわさきさん自身が、自分の絵の表現の変化を「豹変」と言っています。
彼女が何を思い、何を感じ、あのふわっと漂うような水彩画に行き着いたのか。
色々と想像させられます。
展示物の中で圧巻なのは引き延ばした巨大な拡大絵本原画。
全体的な印象の中で見逃してしまいがちな滲みや掠れなどの微妙な変化を確認できます。
よく知った絵本から、また新しい物語が読める気がします。
恒例のグッズ売り場もなかなか充実してます。
いわさきさんのイラストはキャラクター化しにくいので(いい意味で)、ぬいぐるみとかにはなりませんが、その分美しいイラストを楽しめる食器類や文具類、ポストカードなどが多くありました。
ただ、ポストカードは20枚とか10枚のセット販売があって、その中の1枚が欲しくてもバラ売りしてくれないのが悲しかったです。
この京都での展覧会は今月の25日まで。
次は2019年4月20日から5月26日まで福岡アジア美術館を巡回予定です。
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