「エリック・カール展」に行ってきました。

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

美術館「えき」KYOTOで開催中のエリック・カール展へ行ってきました。

公式HP→「エリック・カール展

チケットは一般が当日800円、前売り600円。

安いと思います。

 

開催初日ということもあり、なかなかの混雑でしたが、美術館内は広々としており、展示物はひとつひとつ近くでじっくり見ることができました。

 

●エリック・カールさんについて

カールさんは御年88歳。

写真などで見る限り、まだまだお元気そうです。

 

彩色した紙を切り取り、貼り合わせることで絵にするコラージュ手法が特徴的。

鮮やかで明るい色彩感覚が多くのファンを生んでいますが、カールさん自身の少年時代は、ヒトラー率いるナチスの政権下にある抑圧的なドイツで過ごされています。

 

ヒトラーは(他の独裁者同様)芸術を恐れ、弾圧していましたが、カールさんの高校時代の美術教師はカールさんの才能を見抜き、こっそり彼を自宅に呼んで、ピカソやマティス、クレーなどの作品の複製を見せてくれたそうです。

その出会いは衝撃的であり、後のカールさんの作品に大きな影響を与えたと本人が語っています。

 

美術館内の展示物は、「くまさんくまさんなにみてるの?」などに始まる過去の作品の原画と、絵本の習作(ラフスケッチのようなもの)、それに立体作品や舞台美術、ダンボールなどを使った前衛的な美術作品「天使」シリーズなど。

絵本だけに留まらないアーティストとしてのカールさんの仕事を知ることができます。

 

●巨匠レオ・レオニさんや日本との関わり

個人的に嬉しかったのは、少数ながらもレオ・レオニさんの作品展示もあったこと。

レオニさんは駆け出し時代のカールさんに仕事を紹介するなど、カールさんとは浅からぬ縁のある先輩です。

カールさんの絵本におけるコラージュは、レオニさんの影響によるところが大きいと思われます。

また、カールさんは日本とも繋がりが深く、あの有名な「はらぺこあおむし」を出版するにあたっては、印刷・製本は日本で行われていたのですね。

 

当時のアメリカでは、穴の開いた絵本の印刷はコストの面で敬遠されたという事情があったのです。

あの世界的ロングセラー絵本の誕生に、日本も大きく関わっていたと思うと、さらに親近感が湧きますね。

 

●オリジナルグッズと今後の巡回予定

グッズ販売コーナーでは、公式図録の他、缶バッジ、トートバッグ、ポップアップカードなどが陳列、どれも可愛いものばかり。

「ARIGATO」「DAISUKI」などの文字が入っているものも多かったです。

 

ちなみに、美術館がある伊勢丹7階のフロアにも、エリック・カール関連グッズ売り場が設けられています。

内容は別です。

 

今後の展覧会の巡回は、岩手県盛岡市、福島県いわき市の予定です。

↑また買っちゃった。

目を閉じて眠っているverもありました。

 

エリック・カールさんの作品紹介記事↓

≫絵本の紹介「はらぺこあおむし」

≫絵本の紹介「くもさんおへんじどうしたの?」

 

レオ・レオニさんの作品紹介記事↓

≫絵本の紹介「スイミー」

≫絵本の紹介「シオドアとものいうきのこ」

 

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「100冊分の絵本の紹介記事一覧

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

〒578−0981

大阪府東大阪市島之内2−12−43

URL:http://ehonizm.com/

E-Mail:book@ehonizm.com

【絵本の紹介】「ゆうちゃんのみきさーしゃ」【164冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は「のりもの絵本」でありながら「たべもの絵本」としての要素も兼ね備えた一冊を紹介します。

ゆうちゃんのみきさーしゃ」です。

作:村上祐子

絵:片山健

出版社:福音館書店

発行日:1999年4月10日(こどものとも傑作集)

 

出版は1999年ですが、初出は月刊「こどものとも」1968年7月号ですから、わりと古い作品です。

絵は「コッコさん」シリーズの片山健さん。

 

≫絵本の紹介「コッコさんのともだち」

 

実はこの作品が、片山さんの絵本デビュー作なのですね。

しかし、この絵本を発表したっきり、片山さんは10年以上も絵本の仕事から離れています。

 

彼を再び絵本製作に向かわせたのは、子どもが誕生したことがきっかけのようです。

それを踏まえてこの作品と、以後の作品の絵を見比べてみると、実際に子どもと生活する中での影響がどこに現れているのか、なかなかに興味深いです。

 

さて、内容を見てみましょう。

ゆうちゃんがお菓子の缶とコップでミキサー車を作ります。

すると、その缶が楽しい歌を歌い出し、ぐんぐん大きくなって本物のミキサー車に変身。

 

なんでも おなかに ぶちこんで

ごろごろ まわせば たちまちに

すてきな おかしが できあがる

そこで、ゆうちゃんはミキサー車に乗り込み、おなかに入れる材料を求めて出発します。

 

森に入り、色々な動物たちから材料を分けてもらいます。

みつばちからハチミツを。

にわとりと牛からたまごと牛乳を。

さるからは「きんいろの くだもの」(正体不明)を。

そして、熊からは雪を。

 

それらを全部ミキサーにぶち込んで、ごろごろ回しながら公園まで来ると、遊んでいた子どもたちが駆け寄ってきます。

ゆうちゃんがミキサー車のボタンを押すと、中から出てきたのは……。

うわっ、おいしい あいすくりーむだ

というわけで、子どもたちの大行列ができます。

 

★      ★      ★

 

橙を効果的に使った色鉛筆画。

絵本の絵としての完成度は、この時点で十分に高いのですが、同じ色鉛筆画でも、後期作品の「おなかのすくさんぽ」などと比べると、ずいぶん印象が違います。

 

≫絵本の紹介「おなかのすくさんぽ」

 

もちろん、自身が文を手掛けていることや、絵本としての方向性の違いもありますが、何と言っても子どもの描き方が違います。

この「ゆうちゃんのみきさーしゃ」では、まだ可愛らしい子どもを描いています。

 

それが、自らが親となり、「なま」の子どもを身近に観察する機会を得たことで、片山さんの大きな特徴である「野生味」溢れる子ども絵に進化したのでしょう。

 

やはり、絵本を描く人間にとって、身近な子どもは大きな影響を与える存在なのでしょう。

すぐれた絵本作家に女性が多いのは、ひとつには男性よりも子どもというものをよく知っているからだと思います。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

アイスクリームというより綿菓子に見える度:☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「ゆうちゃんのみきさーしゃ

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「100冊分の絵本の紹介記事一覧

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

〒578−0981

大阪府東大阪市島之内2−12−43

URL:http://ehonizm.com/

E-Mail:book@ehonizm.com

【絵本の紹介】「すいかのたね」【163冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今日7月27日は「スイカの日」だそうです。

というわけで、今回は「すいかのたね」を紹介しましょう。

作・絵:さとう わきこ

出版社:福音館書店

発行日:1987年9月15日

 

高齢化社会の星、「ばばばあちゃん」シリーズ。

このブログでは2度目の登場です。

 

≫絵本の紹介「たいへんなひるね」

 

今作でもそのパワフルさとスケールの大きさは健在です。

 

ばばばあちゃんは庭にすいかのたねを撒きます。

まいた」と表記されてますが、絵を見るとたった一粒のたねを「うめた」だけ。

こんなもんで芽が出るのか、甚だ疑問です。

さて、それを木の上で見ていた子猫が、

ばばばあちゃん、だいじそうに なにか じめんに かくしたな

と、ばばばあちゃんがいなくなると、地面を掘り返します。

 

出てきたすいかのたねを見て、

なあんだ、つまらない くろい たねだ

と、がっかりしてまた埋め戻します。

 

それを見ていた子犬が……。

 

と、次々に動物たちが地面を掘っては、

なあんだ

の繰り返し。

 

やがてすいかのたねに異変が生じ始め、最後にぐるっと回ってばばばあちゃんが掘り返した時、すいかのたねはブチぎれます。

いいかげんにしろ。つまらんとか なんとか やたら いいくさって!

まあ、こうも何度も掘り起こされたんでは、おちおち芽も出せないのはもっとも。

 

しかし、そんな理屈が通じるばあさんではありません。

めを だすの ださないのって、おまえさんが いつまでも ぐずぐずしてるから こういうことになるのさ!

理不尽100%の逆ギレ。

 

もう頭にきたすいかのたねは、怒った勢いのままに芽を出し、ぐんぐんつるを伸ばします。

森にも、家の中にまで。

そして、見事なすいかをたくさん実らせます。

 

食べようとしてすいかを切ると、今度は中から声が。

これでも つまらんやつかい。え!

 

★      ★      ★

 

誰かがすいかのたねを埋めているのを見て、次々に掘り起こし、一周して「最初のひと」に戻るという、落語的おはなし。

キレのいい文で、読んでいても楽しいです。

 

それにしても、すいかのたねの意外なまでの気の強さ。

かにむかし」の柿の木みたいに、ビビッて芽を出すのとは違って、怒りに任せて生長するというパターンは珍しいですね。

 

そしてそれに対するばばばあちゃんも、一歩も引かない喧嘩腰。

調停者もなし。

ですから、前半の心地よい展開に比して、後半からオチにかけては、何だかカオスなことになってます。

 

野菜や果物の栽培には、愛情を込めて話しかけてあげると甘くおいしくなると言われますが、罵り合いの中で大きくなったこのすいか、果たして味の方は大丈夫なんでしょうかね。

 

おしまいのページを見る限り、おいしく食べているみたいですが。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

理不尽度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「すいかのたね

■ばばばあちゃんの他作品→「たいへんなひるね

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「100冊分の絵本の紹介記事一覧

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

〒578−0981

大阪府東大阪市島之内2−12−43

URL:http://ehonizm.com/

E-Mail:book@ehonizm.com

 

【絵本の紹介】「おうさまババール」【162冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は久しぶりにあの人気シリーズの続きを紹介しましょう。

「ぞうのババール」シリーズの第三章、「おうさまババール」です。

作・絵:ジャン・ド・ブリュノフ

訳:矢川澄子

出版社:評論社

発行日:1974年10月20日

 

ババールを巡る壮大な大河ロマン絵本。

全2作の紹介記事も併せてお読みください。

 

≫絵本の紹介「ぞうのババール」

≫絵本の紹介「ババールのしんこんりょこう」

 

これまでのあらすじは……。

ジャングルで幸せに暮らしていたぞうのババールは、ある日猟師に母親を殺され、パリの街へと逃亡します。

そこでおばあさんという最高の理解者兼スポンサーを得て、ババールは文化的生活を送ります。

やがてジャングルに戻ったババールはぞうの国の王さまとなり、妃のセレストとともに新婚旅行に出発します(「ぞうのババール」)。

 

新婚旅行ではトラブル続きで、サーカスに売り飛ばされてしまうババールたち。

何とか逃げ出し、懐かしいおばあさんの助けを借りて、ぞうの国へ帰還します。

しかし、故郷はさいの国との戦争で荒廃していました。

知恵によって戦争に勝利したババールは、ぞうの国の再建を誓います(「ババールのしんこんりょこう」)。

 

さて、目まぐるしかった前作に比べて、今作「おうさまババール」では、平穏でゆったりとした展開で物語は進みます。

ババールはおばあさんの協力も得て、みんなで力を合わせて新しい都「セレストビル」を建設。

学校、図書館、役所がある「しごとのやかた」と、音楽、芝居、サーカス、映画、ダンスを楽しめる「たのしみのやかた」。

 

ぞうたちはそれぞれに仕事を持ち、それぞれが誰かの役に立つことで、暮らしを立てます。

貧困も差別もない、これは作者にとっての理想社会の具現化だと思われます。

 

繁栄が続き、セレストビルは1周年を迎えます。

記念の式典も盛大に行われ、まさに幸福の絶頂というその時、突然悪夢のような展開が訪れます。

ババールにとって大切な存在であるおばあさんが、毒蛇に嚙まれてしまいます。

おばあさんの腕は腫れ上がり、危篤状態に陥ります。

 

さらに長老格のコルネリウスの家が火事に遭い、コルネリウスは病院へ搬送されます。

 

事件の連続で疲労したババールの夢枕に、「ふしあわせ」という名の老婆が、醜い仲間をぞろぞろ連れてやってきます。

悲鳴を上げるババールですが、耳を澄ますと、ぞうの天使たちが幸せをもたらすために参上し、「ふしあわせ」たちを追い払ってくれます。

 

翌朝、ババールはすっきりした気分で目を覚まします。

病院へ行くと、おばあさんとコルネリウスは元気を取り戻していたのでした。

 

★      ★      ★

 

シリーズ通して読むと、ここで改めてこの作品の強いメッセージ性に気づかされます。

一見するとどこかふざけた、ご都合主義全開のユーモア絵本のような印象を受ける「ババール」ですが、実はその中に込められたメッセージは真摯で、誠実で、切実でさえあります。

 

式典帰りの突如の不幸は、それまでのゆったりとした時間の流れを、ぞっとするような早さで断ち切ります。

それは小さなコマ割りによって表現されています。

 

ババールの夢に現れた「ふしあわせ」は、「いかり」「おそれ」「やけくそ」「まぬけ」「びょうき」「がっかり」「なまけもの」「おくびょう」「ばか」「ぐうたら」という、ありとあらゆる負の感情を引き連れてきます。

 

一方、「しあわせ」をもたらす天使たちの名は、「やさしさ」「かしこさ」「のぞみ」「しごと」「けんこう」「あい」「しんぼう」「ゆうき」「がくもん」「よろこび」「まけるものか」。

 

毎回書いていることですが、このシリーズは不治の病に侵されたブリュノフさんが、迫りくる死を前に、残された子どもたちに向けて懸命に描き続けた作品です。

彼はあくまでも「子どもたちを楽しませること」を前提に物語を語ります。

しかし、その中には確かに一本芯の通った、明確で力強いテーマが存在しています。

 

この世に存在する、避けがたい不幸や悲しみに打ち勝つために、何が必要なのか。

 

もう一度、「しあわせ」の天使たちの名を読み返してください。

ブリュノフさんが子どもたちに伝えたかったこと。

残したかったこと。

 

夭逝の天才作家は、その独特のユーモアある語り口と素晴らしい絵に乗せて、人生を幸せに生きるための法則を伝えています。

幼い読者がこの物語から受け取るものは、その後のどんな教訓よりも、魂の深い部分に根付き、強靭な礎になるでしょう。

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「おうさまババール

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「100冊分の絵本の紹介記事一覧

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

〒578−0981

大阪府東大阪市島之内2−12−43

URL:http://ehonizm.com/

E-Mail:book@ehonizm.com

【絵本の紹介】「めっきらもっきらどおんどん」【161冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回も夏にぴったりの絵本を紹介します。

めっきらもっきらどおんどん」です。

作:長谷川摂子

絵:ふりやなな

出版社:福音館書店

発行日:1990年3月15日(こどものとも傑作集)

 

作者の長谷川さんは元保育士で、子どもたちとの触れ合いの中で絵本の力に気づき、作家の道を歩み始めました。

たくさんの読み聞かせ経験を活かした、子どもたちを引き込むリズム感のある文章が持ち味です。

 

降矢さんは「おれたちともだち」シリーズなどで人気の絵師さん。

 

さて、「めっきらもっきらどおんどん」。

タイトルだけでは内容はさっぱりわかりませんよね。

 

表紙は主人公らしき男の子と、怪しいシルエット。

怪談チックな内容を思わせますが、至って楽しいお話です。

 

舞台はどこかの田舎。

セミの鳴き声が聞こえてきそうな夏休みっぽい情景。

 

みんな家族で旅行にでも行ってしまったのか、遊び仲間が誰も見つからず、かんた少年は森の神社にまで来てしまいます。

そこでも誰もいないので、頭にきたかんたは、めちゃくちゃな歌を大声で歌います。

ちんぷく まんぷく あっぺらこの きんぴらこ じょんがら ぴこたこ めっきらもっきら どおんどん

 

すると風が起こり、ご神木の根元から声が。

根元の穴をのぞき込むと、いきなり吸い込まれて……

着いたところは夜の山。

かんたの前におかしな妖怪3人組が現れて、「あそぼうぜ」と誘います。

見た目はちょっと怖いけど、3人の中身はまるっきり無邪気な子ども。

 

かんたは、空を飛んだり、宝物を交換したり、思い切り遊びます。

横開きや縦開きの画面をいっぱいに使い、縦横無尽に展開する躍動感あふれるイラストと、テンポのいいテキストが相乗効果を生んでいます。


遊び疲れた妖怪たちは眠ってしまいます。

ひとりで月を見上げるうち、かんたは心細くなって、3人組が止めるのも聞かず、「おかあさーん」と叫んでしまいます。

 

するとその言葉を鍵とするように、かんたは現実世界に舞い戻ります。

 

★      ★      ★

 

絵本好きな方ならすぐに思い当るでしょうけど、これはかの有名なモーリス・センダックさんの「かいじゅうたちのいるところ」と酷似した構成の物語です。

 

≫絵本の紹介「かいじゅうたちのいるところ

 

幻想の世界に引き込まれた男の子が「かいじゅう」や「おばけ」に出会い、思いっきり遊ぶ。

感情を吐きつくした後は寂しくなり、母親を求める気持ちに促されて現実へ戻る。

 

ちょっと怖い3人の妖怪に対して、かんたが主導権を握っている点や、現実へ戻るきっかけが母親への慕情である点など、たぶん長谷川さんは「かいじゅうたち」をはっきり意識してこの作品を作ったのだと思います。

 

ただ違う点は、「かいじゅうたち」が、主人公の感情や衝動が生み出したものであり、完全に彼の内面世界であるのに対して、この「めっきらもっきら」に登場するおばけたちは、必ずしもかんた少年の空想の産物であるとは言い切れないところです。

 

田舎の森なんて、今でも「何か」出そうですもんね。

この世界には、「不思議なもの」が隠れ潜んでいる、という、幼い頃に確信めいて覚えた感情。

 

大人になってから読むと、そんなノスタルジーを引き起こしてくれる作品です。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

ジブリっぽさ度:☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「めっきらもっきらどおんどん

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「100冊分の絵本の紹介記事一覧

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

〒578−0981

大阪府東大阪市島之内2−12−43

URL:http://ehonizm.com/

E-Mail:book@ehonizm.com