【絵本の紹介】「沖釣り漁師のバート・ダウじいさん」【261冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は「沖釣り漁師のバート・ダウじいさん」を紹介します。

作・絵:ロバート・マックロスキー

訳:渡辺茂男

出版社:童話館

発行日:1995年4月25日

 

以前にほるぷ出版より刊行されていたものの復刻版で、現在は童話館から出版されています。

発表は1963年。

 

ロバート・マックロスキーさんと言えばロングセラー「かもさんおとおり」が有名ですね。

 

≫絵本の紹介「かもさんおとおり」

 

「かもさんおとおり」はモノクロ画でしたが、今作では鮮やかな色彩が楽しめます。

特に船やクジラの体内に用いられているピンクが効果的です。

 

この前紹介した「海は広いね、おじいちゃん」に引き続き、これもまた「老人と海」な絵本です。

おじいちゃんと言えば海。

 

≫絵本の紹介「海は広いね、おじいちゃん」

 

ちょっと長めの話で、洒落た表現もたくさん出てくるので、夏休みの読書感想文などにもオススメです。

 

バート・ダウじいさんは引退した沖釣り漁師。妹のリーラと暮らしています。

船を2艘持っていて、1艘は花壇にしています。

もう1艘が特にお気に入りの「潮まかせ」号。

 

かなり古い船ですが、バートじいさんは大切にしていて、しょっちゅうペンキを塗って穴をふさいでいます。

ペンキ塗りの仕事の余りで塗るので、カラフルな船になっています。

 

ある朝、バートじいさんは仲良しのかもめと一緒に、「潮まかせ」で沖釣りに行きます。

そこで釣り糸に引っかかったのが、なんとクジラ。

危うく船ごと沈められそうになりながら、じいさんはどうにかクジラをなだめて針を外し、絆創膏を貼ってやります。

が、いつの間にか空模様が怪しくなり、嵐が近づいていることを示しています。

 

このままでは突風にあおられて沈められてしまうと思ったバートじいさんは一計を案じます。

それはクジラの胃袋に一時避難すること。

で、クジラに頼んで呑み込んでもらいます。

今度は出るために、ペンキを撒き、クジラにしゃっくりをさせます。

無事に飛び出した「潮まかせ」が着水したのはクジラの群れの中。

バートさんが他のクジラにも絆創膏を巻いてやると、クジラたちは大変に喜び、一斉に潮を吹くのでした。

 

★      ★      ★

 

マックロスキーさんはアメリカ絵本の黄金時代を築いた作家の一人とされ、「かもさんおとおり」でもそうでしたが、その作風には「古き良きアメリカ」のテイストが色濃く表れています。

 

バートさんの人柄、リーラとの掛け合い、おしゃべりかもめとの交情、町の人々など、作者が心から楽しんで描いていることがよくわかります。

ピンチの連続の中でも常にジョーク混じりの粋なセリフを飛ばすバートじいさんは、いかにもアメリカ男です。

 

読み終わると、まるでアメリカ映画を一本鑑賞したような気分になります。

ちなみに絵を見ればわかりますが、「潮まかせ」の原文は「TIDELY-IDLEY」。

これまた洒落たネーミングになっています。

 

推奨年齢:7歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆

生き生きした人物造形度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「沖釣り漁師のバート・ダウじいさん

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【絵本の紹介】「しきしきむらのなつ」【260冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

もう聞き飽きたセリフでしょうけど、暑いですね。

ちょっとこれは殺人的ですね。

 

夏は暑いものとは言っても、これではせっかくの夏休みも、外で遊びづらいものがあります。

プールで熱中症になるくらいですからね。

ここまで酷暑が続くと、夏の風情もなにも感じるどころではなく、ただただクーラーの効いた部屋にこもるばかりになってしまいます。

 

せめて絵本の中で、「いい夏」を感じたいと思って、今回は四季を描いた詩の絵本「しきしきむら」シリーズより、「しきしきむらのなつ」を持ってきました。

作:木坂涼

絵:山村浩二

出版社:岩波書店

発行日:2005年4月26日

 

作者の木坂涼さん(女性)は、詩人・エッセイスト。

翻訳の仕事も多数こなされており、絵本の翻訳も手掛けています。

 

私が初めてこの人の作品を知ったのは、息子が0歳、まだ絵本を読み聞かせ始めたばかりのころです。

月刊絵本「ちいさなかがくのとも」に「とんとんとんおとがしますか」という木坂さんが文を書いた絵本があり、内容が非常に平易だったので息子にちょうどいいと思って読み聞かせたところ、大ウケしたのです。

 

文のリズムや効果的な擬音が、小さかった息子にも非常に心地よかったのでしょう。

当時一番リピート率の高い一冊でした。

 

この「しきしきむら」シリーズでも、それぞれの季節の風物詩をあれこれ登場させながら、その耳に馴染みやすい言葉と文のリズムは健在です。

山村浩二さんの絵も可愛らしく、光や影を感じさせるイラストから、夏のにおいが伝わってきます。

なつ なつ なつ

なつは まぶしい ちっかちか

おひさま てって ちっかちか

 

山村さんの他の作品「くだものだもの」のような可愛くてすっとぼけた味のキャラクターが、ここでも活躍しています。

テキストには説明はありませんが、「しきしきむら」を舞台に、キツネ(♂)、ネコ(♀)、カメ、カタツムリの仲良し4人組が主人公となって夏を満喫する様子が描かれており、絵からも様々な想像ができます。

なつ なつ なつ

くん くん くん

なつの においは どこにある?

カブトムシ、アブラゼミ、やきとうもろこし、スイカ、にわか雨、そして大きな入道雲。

なつ なつ なつ

みつけた みつけた

なつ みーっけ!

 

★      ★      ★

 

夏に限った話ではなく、季節の変化や情緒を感じるには、やっぱり都会は不向きですね。

私も子どもの頃はお盆には父の田舎で過ごした思い出があり、海や山、蚊取り線香にスイカといった私の「夏のイメージ」はそこで構築されています。

 

息子にはできるだけ自然の多いところへ連れて行って遊ばせてやりたいのですが、こう暑いと道中が危険です。

今度は台風が西日本に接近してますし。

今年の夏は優しくない感じですね。

 

ともかく体調に気を付けて、健康第一で乗り切りましょう。

 

推奨年齢:2歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

五感刺激度:☆☆☆☆☆

 

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【絵本の紹介】「海は広いね、おじいちゃん」【259冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

酷暑が続いておりますが、皆様お元気で過ごされていますか?

特に高齢の方は熱中症にお気を付けください。

毎日街を走る救急車の数が半端ないです。

 

今回紹介するのは「海は広いね、おじいちゃん」です。

作・絵:五味太郎

出版社:絵本館

発行日:1979年3月

 

五味太郎さんによる「老人と海」絵本。

五味さんの描くおじいちゃんとかおじさんって、他にない味がありますよね。

 

毎回実験的な絵本を作る五味さん。

彼の作品の特徴は、「構造的なしかけ絵本」とでも言えるでしょうか。

この絵本もまた、独特な在り方を示しています。

 

表紙から続いて、おじいちゃんと孫の男の子が、海へ遊びに来たところ。

テキストは左ページに男の子、右ページにおじいちゃんのセリフ。

二人の掛け合いのみで物語は進行します。

はしゃいでいる男の子に対し、おじいちゃんは背を向けて読書。

男の子はなんと海に降りてくるUFOと泳いでくる宇宙人を発見しますが、おじいちゃんは振り向きもせず、生返事ばかり。

 

男の子が次々に変身する宇宙人と楽しく遊んでいるのに、おじいちゃんは気づきもしない。

宇宙人が女の人に変身して、クッキーを差し出した時にだけは振り向きますが、それでも異常事態を認識してはいません。

しかし、星型のクッキーを齧ったおじいちゃんに異変が。

 

遊び終わった宇宙人は男の子に別れを告げて飛び去って行き、それすら見ていないおじいちゃんは、

ぼちぼち 帰るとしようか・・・

と、パラソルを引っこ抜いて……。

パラソルをひっくり返して、

はやく乗りなさい、これで帰ることにしたんだ

 

なんと、二人は本当にパラソルに乗って飛んでいきます。

衝撃的なラストですが、

なに考えてるの、おじいちゃん?

ちょっとしたことさ・・・

という二人の会話には、不思議な親密感や連帯感が感じられます。

 

★      ★      ★

 

全然噛み合っていないようで、どこかで通じ合っているような、おじいちゃんと孫の関係。

おじいちゃんが熱心に読んでいた本のタイトルも、ニヤリとさせます。

 

男の子が見たものは現実か、それとも「なみにきをつけて、シャーリー」のような空想でしょうか。

≫絵本の紹介「なみにきをつけて、シャーリー」

 

もし空想だとすると、ラストの展開は、孫の果てしもない想像のお話を、一見素っ気なく聞いていたおじいちゃんの中に芽生えた化学変化のようなものと捉えることもできます。

 

おじいちゃんと男の子の孫、という関係には、どこか特別なものがあります。

それは孫娘との関係とも違うし、おばあちゃんと孫の関係とも違う。

うまく言葉にできませんけど。

 

私の場合、おばあちゃんとの関係は深かったんですが(母方の祖母はまだ存命ですし)、おじいちゃんとの思い出というのはほとんど皆無に近いです。

おじいちゃんというのは、おばあちゃんに比べてなんと近寄りにくい存在か、と子ども心に思っていましたね。

 

世間には色々なおじいちゃんがいて、この絵本のように孫と二人きりで海に行くような素敵なおじいちゃんもいることを知った今では、もっともっと「おじいちゃん」と関わっておけばよかったかな、と、思ったりもします。

 

しかし、私の父も妻の父も、全然孫と遊ぼうとしない「おじいちゃん」であることは残念至極です。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

クッキーの味が気になる度:☆☆☆☆☆

 

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【絵本の紹介】「あんぱんまんとばいきんまん」【258冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回はお久しぶりに国民的アイドルに登場してもらいましょう。

あんぱんまんとばいきんまん」です。

作・絵:やなせたかし

出版社:フレーベル館

発行日:1979年7月

 

例によってまだ平仮名表記の、初期「あんぱんまん」です。

そしてついに今回、あの名悪役「ばいきんまん」が初登場します。

 

初期あんぱんまんの特徴やアニメとの差異、作者のやなせさんの想いなどをつづった過去記事も読んでみてくださいね。

≫絵本の紹介「あんぱんまん」

≫絵本の紹介「アンパンマンのサンタクロース」

 

さて、「ひもじい人に食べ物を(文字通り)身を削って分け与える」という、やなせさんの考える「正義」の具現として生み出されたヒーローあんぱんまん。

(ちなみにデザインは「月おとこ」にインスピレーションを受けたそうです)。

 

≫絵本の紹介「月おとこ」

 

第一作「あんぱんまん」では、砂漠や森で彷徨う人々に顔を食べさせるだけの(連れ帰ってはくれないんですね)お話でした。

私は大好きですが、少々シュールが過ぎて、ホラーテイストすら漂わせるデビューでした。

 

やなせさん自身、「何かが足りない」と試行錯誤を重ねた末、悪役ライバルとして「ばいきんまん」を登場させ、なおかつなんと「あんぱんまん」を巨大化させて戦わせるという王道ヒーローものに作品を転向させます。

 

あまつさえ、「顔を食べさせる」というあんぱんまん最大のコンセプトさえカット。

大丈夫なのかやなせさん。

 

しかしこれが結果的には大当たり。

以後、「ばいきんまん」は主役を凌ぐほどの人気者に成長してゆくことになります。

 

ついに名前が判明した「ジャムおじさん」(まだバタコさんも未登場)が、なんだか具合悪そうに座り込んでいます。

おじさん あんこが くさりますよ

とあんぱんまん。

こういうセリフ回しに、まだまだ飄逸なあんぱんまんのキャラクターが見えます。

 

あんぱんまんは工場の上空を覆う黒い雲を調べるため、飛び出します。

ここでばいきんまん登場。

触覚とか、微妙に現在とデザインが違います。

 

テレビであんぱんまんを見つけると、

なんだ、こいつは あんパンの おばけか?

と、紫色の光を放って、あんぱんまんを墜落させます。

 

あんぱんまんは地上に叩きつけられ、中身が出るなど、人間だったらかなりグロいことになります。

大泣きしながら工場に帰るあんぱんまん(この辺りの性格もアニメ版とは結構違います)。

 

さあ、ジャムおじさんは怒り心頭、具合が悪いのも忘れて「ジャイアントあんぱんまん」を作り始めます。

おおきくて かたくて ぜったいに つぶれない」という、とても食べることのできない「ジャイアントあんぱんまん」。

ボディはどうなってるの?

ボディもチェンジしてたら、あんぱんまんのアイデンティティってどうなるの?

そんな疑問は無視して、ジャイアントあんぱんまんはばいきんまんにリベンジ完了。

黒い雲を吹き飛ばし、青空を取り戻します。

 

戦いの終わったジャイアントあんぱんまんは元のサイズの食べられるあんぱんまんに戻り(ボディは?)、「せかいじゅうの おなかの すいた こどもたちを たすける ため」飛んでいくのでした。

 

★      ★      ★

 

やなせさん、悩んだんでしょうねえ……。

こうして改めて読み返してみると、第一作「あんぱんまん」とは結構違った方向へテコ入れしてるのがわかります。

 

何気に助ける相手が「こどもたち」に限定されちゃってるし。

しかしまあ、あんぱんまんのキャラクターや、せっかくできたジャイアントあんぱんまんが工場から出られずに屋根をふっ飛ばして外に出るところなど、シュールな味はそのままです。

 

私も子どもの頃はこの絵本の展開に興奮した記憶がありますし、やっぱり子どもが喜ぶものを追及した結果の作品転向であり、そしてそれは大成功と言うべきでしょう。

 

でも、初期の八頭身あんぱんまんのことも忘れないでやってくださいね。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

色々と衝撃的度:☆☆☆☆☆

 

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【絵本の紹介】「よるのびょういん」【257冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は写真絵本を持ってきました。

よるのびょういん」です。

作:谷川俊太郎

写真:長野重一

出版社:福音館書店

発行日:1985年2月15日(こどものとも傑作集)

 

タイトルで誤解しないよう言っておきますけど、ホラー要素はありませんよ。

上質なドキュメンタリー形式のフィクション絵本です。

 

文は詩人・谷川俊太郎さん。

写真を撮影しているのは記録映画「1964年東京オリンピック」に参加した長野重一さん。

同映画には谷川さんも脚本家として参加されています。

 

病院の仕事を紹介する絵本は色々とありますが、これは少年の緊急手術というストーリーを付け、俳優たちによる演技をモノクロフィルムに映すという手法を取ることで、いわゆる科学絵本や知識絵本とは一線を画す、緊迫感と絶妙なユーモアの感じられる特異な作品に仕上がっています。

 

朝からお腹が痛いと言っていた少年「ゆたか」が、夜中に高熱を出します。

父親は新聞社の夜勤という設定で、母親が救急車を呼ぶことになります。

熱でぼうっとなりながらも、初めての救急車に興奮するゆたか。

病院に着くと当直の先生が颯爽と白衣に腕を通しながら階段を駆け下りてきます。

すぐに しゅじゅつだ!

ドキドキする展開。

要所要所に病院の仕事や機械などが登場し、子どもの「知りたい欲」をくすぐります。

 

一方、ゆたかの父親は母親から連絡を受けますが、ここでも夜の新聞社での仕事を垣間見ることができ、「輪転機」などのワードもさりげなく差し込まれます。

谷川さん、わかってらっしゃる。

手術が続く中、夜の病院で働く人々が写されます。

看護婦さんやボイラーマン、集中治療室の様子など。

病院とは、お医者さんと看護婦さんだけの職場ではないのです。

 

ゆたかの手術は無事に終わり、ほっとした空気が流れます。

 

★      ★      ★

 

ゆたかの病気は要するに盲腸で、深刻なものではないのですが、お腹を切るのですから、子どもたちにとってはドキドキするような本物の手術であることには変わりありません。

恐怖を感じさせることなく、この非日常のハラハラ感を演出できるのは、モノクロ写真の力と、谷川さんの文の力にあります。

 

ずいぶん おんぼろもうちょうだけど、きねんに うちへ もってかえるかい

と冗談を飛ばす先生や、

まえから おれが いってたろう、ぶどうの たねは はきださないと もうちょうになるって

と、真剣な様子で言う父親。

 

緊張感漂う全編において、ふっと肩の力を抜けるような、絶妙なユーモアが秀逸です。

 

ちなみに谷川さんによる写真絵本では他に「なおみ」という作品がありますが、これもホラーではないのですが、こちらは人形の写真のインパクトが強烈過ぎて「怖すぎる」絵本として一部で有名です。

谷川さんとしては不本意でしょうけど。

 

推奨年齢:5歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

ブドウの種で盲腸になるのは迷信ですよ度:☆☆☆☆☆

 

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