2018.07.31 Tuesday
【絵本の紹介】「沖釣り漁師のバート・ダウじいさん」【261冊目】
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
今回は「沖釣り漁師のバート・ダウじいさん」を紹介します。
作・絵:ロバート・マックロスキー
訳:渡辺茂男
出版社:童話館
発行日:1995年4月25日
以前にほるぷ出版より刊行されていたものの復刻版で、現在は童話館から出版されています。
発表は1963年。
ロバート・マックロスキーさんと言えばロングセラー「かもさんおとおり」が有名ですね。
「かもさんおとおり」はモノクロ画でしたが、今作では鮮やかな色彩が楽しめます。
特に船やクジラの体内に用いられているピンクが効果的です。
この前紹介した「海は広いね、おじいちゃん」に引き続き、これもまた「老人と海」な絵本です。
おじいちゃんと言えば海。
ちょっと長めの話で、洒落た表現もたくさん出てくるので、夏休みの読書感想文などにもオススメです。
バート・ダウじいさんは引退した沖釣り漁師。妹のリーラと暮らしています。
船を2艘持っていて、1艘は花壇にしています。
もう1艘が特にお気に入りの「潮まかせ」号。
かなり古い船ですが、バートじいさんは大切にしていて、しょっちゅうペンキを塗って穴をふさいでいます。
ペンキ塗りの仕事の余りで塗るので、カラフルな船になっています。
ある朝、バートじいさんは仲良しのかもめと一緒に、「潮まかせ」で沖釣りに行きます。
そこで釣り糸に引っかかったのが、なんとクジラ。
危うく船ごと沈められそうになりながら、じいさんはどうにかクジラをなだめて針を外し、絆創膏を貼ってやります。
が、いつの間にか空模様が怪しくなり、嵐が近づいていることを示しています。
このままでは突風にあおられて沈められてしまうと思ったバートじいさんは一計を案じます。
それはクジラの胃袋に一時避難すること。
で、クジラに頼んで呑み込んでもらいます。
今度は出るために、ペンキを撒き、クジラにしゃっくりをさせます。
無事に飛び出した「潮まかせ」が着水したのはクジラの群れの中。
バートさんが他のクジラにも絆創膏を巻いてやると、クジラたちは大変に喜び、一斉に潮を吹くのでした。
★ ★ ★
マックロスキーさんはアメリカ絵本の黄金時代を築いた作家の一人とされ、「かもさんおとおり」でもそうでしたが、その作風には「古き良きアメリカ」のテイストが色濃く表れています。
バートさんの人柄、リーラとの掛け合い、おしゃべりかもめとの交情、町の人々など、作者が心から楽しんで描いていることがよくわかります。
ピンチの連続の中でも常にジョーク混じりの粋なセリフを飛ばすバートじいさんは、いかにもアメリカ男です。
読み終わると、まるでアメリカ映画を一本鑑賞したような気分になります。
ちなみに絵を見ればわかりますが、「潮まかせ」の原文は「TIDELY-IDLEY」。
これまた洒落たネーミングになっています。
推奨年齢:7歳〜
読み聞かせ難易度:☆☆☆☆
生き生きした人物造形度:☆☆☆☆☆
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