2019.02.27 Wednesday
【絵本の紹介】「だるまちゃんとうさぎちゃん」【306冊目】
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
去年から今年にかけ、私の大好きな絵本作家さんが次々と亡くなられました。
トミー・ウンゲラーさん、ジョン・バーニンガムさん。
そして、日本絵本界の長老的存在だった加古里子さん。
今回は加古さんの代表作「だるまちゃん」シリーズ第三弾、冬のお話を紹介しましょう。
「だるまちゃんとうさぎちゃん」です。
作・絵:加古里子
出版社:福音館書店
発行日:1977年4月1日(こどものとも傑作集)
かなり久々の登場ですかね。
前2作の記事も併せてどうぞ。
「てんぐちゃん」「かみなりちゃん」と来て今回は「うさぎちゃん」……。
わりと普通。
このシリーズは日本の伝説上のキャラクターや民芸品なんかが毎回登場するんですが、このうさぎちゃんも、日本のノウサギがモデルだそうです。
他シリーズのゲスト勢が個性的すぎて、どうしてもインパクトは弱いですが。
今回はだるまちゃんの妹の「だるまこちゃん」も大いに活躍します。
兄妹はスキーを楽しみ、雪だるまを作ります。
雪だるまの目にしたりんごが転げて、「うさぎちゃんと うさぎこちゃん」にぶつかって止まります。
だるまちゃんたちは一緒になって色々な変わった雪だるまを作って遊びます。
雪うさぎの作り方や、手袋を使ったうさぎ人形。
家に入ればナプキンやりんごや食器までうさぎ型にして遊びます。
お土産は新聞紙でうさぎの帽子。
最後までうさぎ尽くし。
★ ★ ★
様々な伝統的な遊びを紹介する「だるまちゃん」シリーズ中でも、この作品は特に最初から最後まで遊びの図鑑みたいな構成です。
どれも家ですぐに試せるものばかりで、我が家でも息子が手袋のうさぎ人形を作ってました。
加古さんは歌や絵遊びなど、日本に伝わる古い遊びの研究をライフワークにしており、ここに描かれたのはそのほんの一部でしょう。
それにしたって「丹下左膳」とか、もう今の子どもには馴染みがないどころか、親だって知らない人も多いかもしれません。
「座頭市」のほうは映画なんかでまだ知名度がありますが。
この作品に出てくるような遊びも、もう子どもたちもやらないし、そもそも誰にも教えてもらえないかもしれません。
何もない時代に、知恵を働かせて生み出した遊びを、下の世代の子どもたちに伝え、残していく。
そんな時代はもう終わってしまったのでしょう。
精巧に作られたおもちゃよりも、ただの棒一本、石ころ一つの方が、想像力を制限されない分、子どもたちは長く遊べたりするものです。
しかしそれも、電子ゲーム機には敵わないのでしょうか。
面白いでしょうしね。
しかも時間もかかるし。
さらに、面倒見る大人にとっても楽と言えば楽。
怪我も心配ないし。
しかしそれでもやっぱり、手間暇をかけて「遊び」を創造する仕方を覚えることは、大人になってからでも必ず役に立つことだと思うのです。
加古さんが未来の子どもたちに残そうとしたものの大切さを、もう一度考えてみたいと思うのです。
推奨年齢:3歳〜
読み聞かせ難易度:☆☆
だるまちゃん博識度:☆☆☆
■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「だるまちゃんとうさぎちゃん」
■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「300冊分の絵本の紹介記事一覧」
■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。
■絵本の買取依頼もお待ちしております。
〒578−0981
大阪府東大阪市島之内2−12−43
E-Mail:book@ehonizm.com