2019.06.27 Thursday
虐待について
こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。
いよいよG20に伴う大規模な交通規制が始まってます。
大阪市在住の私としては、ただただ迷惑極まりない話です。
なんか警官がいっぱいいると嫌な気分になるし(無意識に後ろ暗いことがあるからかな)。
頼むからよそでやって。
ところが、周囲の人々の反応を窺うと、実に大人しいのですね。
仕事やプライベート含め、大いに迷惑をこうむっているはずなのに、ほとんど文句ひとつ言わない。
偉い人が決めたことだからしょうがない、という空気です。
ま、確かに私がぶうぶう言ったところで規制が解かれるわけではないですが。
唯々諾々。
これが国民性なのかもしれないし、学校教育の「成果」なのかもしれません。
今回はまた教育に関係する話です。
先日、親権者による児童への体罰禁止規定を盛り込んだ児童虐待防止法の改正案が成立しました。
子どもは叩いて矯正しないとまともな人間にならないと考えている人、体罰が禁止されたら子どもが「つけあがる」ことを懸念してる人、そもそもしつけと虐待の区別がついてない人。
そういう人々は、法律で体罰を禁止されることを苦々しく思っているでしょう。
体罰に対しての私の考えは過去に書いてます。
読んでいただければわかる通り、私は体罰というものを認めていません。
あらゆる体罰は子どもの成長にとってマイナスだと思うからです。
そもそも「しつけ」ということに懐疑的です。
でも、だから体罰を法律で禁ずることに諸手を上げて賛成かと言うと、複雑な気持ちです。
子どもを産み、育てるという行為に対し、他人がくちばしを入れることに不快な気持ちがあるからです。
もちろん、実際に虐待され、人権を蹂躙され、助けを必要としながら声も上げることができない子どもたちは、「他人」の大人たちが自らくちばしを突っ込んで守らなければなりません。
そして現実問題として、救わなければならない子どもたちは大勢いるのです。
悲しいことですが「親になるべきでない親たち」は確かに存在します。
子どもたちは何よりもまずその親たち(彼らもまた救いを必要としている存在ですが)から守られなければなりません。
ですから、そのための「法」は必要には違いありません。
気を付けるべきなのは、国が個人を法で縛ることそのものが「いいこと」だと誤解しないことです。
子どもを産むという選択、産まないという選択。
いかに子どもと関わるかという選択、関わらないという選択。
それらは根本的には個人の自由に委ねるべき問題です。
「産め」「産むな」「こう育てろ」「こう育てるな」というすべての強制は本来されるべきではありません。
親と子どもを巡る数えきれないほどの悲劇や悲惨を認識した上で、それでもなお、です。
そうでなければ真に自由な人間を育てることにはならないからです。
人間は進み過ぎたり、現状に留まろうとしたりしながらも、「自由になること」を志向します。
私はそう考えています。
もう何度も繰り返してきたことですが、真に「自由になる」とは「本能のままに行動する」ことではありません。
人間には「本能に従わない自由」があり、「自らの信念や理想に基いて行動する」自由があります。
同時に「悪を行う自由」があり、危険な誤解を恐れずに言えば「虐待する自由」というものもあるのです。
自由の中で善を選び取ることに価値があるのです。
法律で禁止されてるから虐待を我慢するのではないのです。
虐待防止法が「今、現状」必要か? と問われれば「必要である」と答えます。
しかしそれが「未来に亘って永久的に」必要か? と問われれば「NO」です。
いずれはなくなるべきだし、なくなるでしょう。
同じ理由で、死刑制度も刑法そのものも、いずれはなくなると思います。
人類がその時代まで生き延びていれば、ですけど。
虐待をしてしまう親で(正直に申し上げてまったく同情心は湧かないんですが)最も哀しいのは、自分が幼い頃に虐待を受けた人間が、親になってから自分の子に虐待を繰り返すケースです。
子どもをどう育てるかはそれぞれの性質や環境によって様々です。
育児はどうすれば正解、という答えはなく、どこまでやればいいかも人によって違い、比べられるものではありません。
ですから、一つのテーマとしてですが、「自分が親からしてもらった以上のこと」が子どもに対してできれば、それでいいのかもしれないと考えています。
虐待を受けた人間が、虐待の連鎖を自分の代で断ち切れれば、それだけで素晴らしい価値のあることだと思います。
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