【絵本の紹介】「まあちゃんのながいかみ」【340冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

「果てしなく自由な空想は子どもの特権」と言われると、特に抵抗なく首肯してしまいそうですが、実際のところは少し違うと思います。

全ての子どもが柔軟で伸びやかな空想力を発揮できるかというと、そうでもありません。

空想力は適切に育てないと伸びない種類の能力です。

そのための最適な時期が子ども時代であるということです。

 

普通に考えて、人生経験も知識も不足している子どもには、空想に用いる「手持ち材料」が大人に比べて足りないわけです。

その限定的な「枠」から一歩外へ出してやるには、大人の導きが必要です。

 

私もよく息子と「空想ごっこ」をやります。

そんな時、私の方から目先を変えてやると、それをきっかけにして息子がどんどん先へ進んでいくことがあります。

「こんなのもある、こんなやり方もある」……「枠の外」へ飛び出し、走り出した子どもの表情は輝いて見えます。

もうそうなれば、大人の出る幕はありません。

 

今回紹介するのはどこまでも伸びる空想(と髪の毛)が楽しすぎる絵本「まあちゃんのながいかみ」です。

作・絵:たかどのほうこ

出版社:福音館書店

発行日:1989年9月1日(こどものとも年中向き)

 

庭らしきところでテーブルと椅子を出し、クッキーとジュースを並べ、女の子3人が語らっています。

優雅な女子会。

主人公「まあちゃん」は、タイトルに反して短いおかっぱ頭。

友人の「はあちゃん」「みいちゃん」はロングヘアを自慢します。

 

それに対抗して、まあちゃんは「あたしなんかね、もっと ずっと のばすんだから」と言い出します。

ずっとずっとずっとずっと、ずうーっとよ!

その長いことといったら……。

はしのうえから おさげを たらして さかなが つれるくらいなのよ

ギネスブックもびっくり。

 

さらにおさげはロープにもなり、牛を捕まえることもできます。

髪の毛にくるまって寝袋のように眠ることもできます。

家じゅうの洗濯ものを一度に干すことだってできるのです。

この時まあちゃんが読んでいるのは名作「どろんこハリー」。

 

友達二人はまあちゃんの空想に対し、否定するわけではなく、「そんなに ながかったら あらうのが たいへんじゃない?」「どうやって とかすのよ、そんなかみ」と、リアルな疑問を投げかけます。

 

しかし、乗ってるまあちゃんは嬉し気に疑問に答えて行きます。

最後に「ひきずっちゃって こまらない?」というもっともな質問に、まあちゃんは「パーマにしとくの」。

すると、まあちゃんの髪は巨大な森になって、小鳥やりすや虫たちが集まってくるのです。

 

このとんでもない空想に、はあちゃんとみいちゃんはそろって「それって たしかに とってもいい……」と納得し、「まあちゃんの かみ、 はやく のびるといいね」と応援するのでした。

 

★      ★      ★

 

この絵本では、現実のまあちゃんたちのやり取りがモノクロで描かれ、空想世界が鮮やかな色彩で彩られています。

子どもにとっての空想世界が、現実以上に活き活きとした実感を持って存在していることが伝わります。

 

負けん気の強いまあちゃんも可愛らしいですが、私ははあちゃんとみいちゃんの態度が素敵に感じます。

子どもは意外と冷静なツッコミをするものですが、空想そのものを否定することはしません。

まあちゃんの突き抜けた空想が「いいな」と感じたら、素直に共感することができるのです。

 

3人のやり取りに示されているように、空想とは何でもありのカオスではありません。

自分自身を含めて、ちゃんと「納得感」を与えなければならないのです。

「納得感」と「実現可能性」は必ずしもイコールではないのです。

 

私の息子も、最近になっていよいよ私の予想の範疇を超えた想像力を垣間見せることが出てきました。

たぶん、あと少ししたら私の方がついて行くのに必死になり、そしてあっという間に置いて行かれるのでしょう。

その時を楽しみにしています。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

いい友達度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「まあちゃんのながいかみ

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

〒578−0981

大阪府東大阪市島之内2−12−43

URL:http://ehonizm.com/

E-Mail:book@ehonizm.com

「それって子どもを幸せにするの?」

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

もうすぐ10月ですね。

そしてどうやら消費税は10%に増税されるらしいですね。

 

これ、我々庶民にとって物凄い打撃だと思うんですけど、なんかフワフワしてますね。

他人事みたい。

この前8%に上がる時だって割と大騒ぎしたのに、今回はなんか(表面的には)静かです。

どういうことなんでしょう。

古本屋という商売は基本的に価格設定が自由で、当店も消費税は一応価格に含まれる計算で絵本の値段を付けております。

もちろんそれは8%設定ですが、かと言って10月になったとたんに全商品を10%設定に値上げするのかと言えば、そんなことはしません。

面倒すぎるから。

 

ただ、今後は古本といえど値上がりは避けられないでしょうし、これから入荷する絵本に関しては多少価格設定を考えなければならないとは思います。

嫌なことです。

誰だって増税は嫌なことだと思うのですが、「でも仕方がない」というのが大半の国民の意見なのでしょうか。

本当に仕方がないのでしょうか。

 

本来、税金はその共同体に暮らす人々の生活をより良くするために使われるべきものです。

そうでなければ、誰も自分の稼ぎから少なくない額を収めたりしません。

 

けれど、実際に税金が何に使われているかを把握するのはなかなか難しい。

私もちょっと内閣官房のHPを見たりして確認しようとしたんですけど、よくわかりません。

ああいうのは庶民の知識でも理解できるように明示すべき種類の事柄だと思うのですけど、よくわからないのです。

つまり現実問題として私は「何に使われているかよくわからないお金」をせっせと収めていることになります。

私だけでしょうかね。

 

ただの愚痴になるのかもしれませんが、この機に少し思うところを綴っておきます。

 

消費税に限らず、私が関心があるのは、個々の政策の是非ではなく(そんなのよくわかんないし)、全体としてこの国がどの程度「子どもを守り育てる」ことに真剣であるかどうか、です。

物凄く簡単に言えば「それって子どもを幸せにするの?」ということです。

 

その意味において、消費増税は確実に子育て世代の生活を圧迫するでしょう。

増税分の使い道は少子化対策にも充てるそうですが、そもそも子どもを産まない最大の理由は収入が少ないことですから、何をしてるのかよくわかりません。

 

消費税が5%から8%に増税された時も政府は「全額を社会保障の充実に充てる」と公約してましたが、結果としてこの数年間で社会保障が充実したとか、生活が豊かになったという実感は私には皆無です。

私が子育てを始めたのはすでに8%になってからですが、消費増税によって子育て環境が改善された、子どもを産みたくなったという話は寡聞にして知りません。

そこから考えると、消費税が10%になることで育児を巡る環境はさらに悪化するような気がします。

 

繰り返しますが、私が問題にしているのは「政策の是非」ではありません。

「事実」として、子どもたちがどう扱われているかです。

 

OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本の教育への公的支援の割合は2018年時で34か国中最下位でした。

日本は「育児に良い国」ランキングでは先進国中最低クラスです。

 

「子どもを産みたくない」という若者の感性は非常に現実的で正しいと言えるのです。

かくもこの国で子どもを産み育てることはハードな行為となっているのです。

 

そしてその結果として、「育児」=「苦痛」「酷使」「不安」「犠牲」というマイナスイメージが膨らみます。

それはそのまま子どもそのものへのマイナスイメージへと繋がります。

非協力なパートナー、育児休暇をろくに取れない会社、電車やバスでの子連れの人に対する冷視。

 

そりゃあ、産みたくないでしょ。

この状況で「子どもを産もう」と決意した人は、それだけで表彰に値する勇者だと思います。

私も勇者。

 

結論を言いますと、この国は子どもに興味がないということです。

全然ない。

寂しいですね。

 

ま、昔の自分を省みれば、偉そうに他人の批判はできませんが。

ともかく、現実は上記の通りです。

かと言って打ちのめされている時間は我々にはありません。

我々の手には子どもの生命が預けられているのですから。

 

国が当てにできない以上、できることは個人的な範囲に限られます。

私の場合、子どもと精一杯遊んであげること、そして絵本をどんな時でも面倒がらずに読んであげること、主にこれだけを心掛けてきました。

 

結果はどうなるでしょうか。

どうなるでしょうね。

 

願わくは、息子の世代が築く社会が、子どもたちにとって幸せなものでありますように。

 

 

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

〒578−0981

大阪府東大阪市島之内2−12−43

URL:http://ehonizm.com/

E-Mail:book@ehonizm.com

【絵本の紹介】「おばけのバーバパパ」【339冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回は誰でも知ってる世界的人気キャラクター「バーバパパ」を取り上げます。

その誕生秘話が読める第一作「おばけのバーバパパ」です。

作・絵:アネット・チゾン&タラス・テイラー

訳:山下明生

出版社:偕成社

発行日:1972年6月

 

誰でも知ってるとは思いますが、それはアニメキャラクターとしての「バーバパパファミリー」であって、絵本作品としては意外と読んだことのない人も多いかもしれません。

けれど、単なる「キャラクターもの」と侮るなかれ。

その秀逸なキャラクターデザインと設定だけではなく、画面構成や物語のテンポにおいても、非常に成功している良作なのです。

 

さて、「知ってるけど意外と知らない」バーバパパ。

まず根本的な事実を挙げますと、バーバパパは私たちが想像するところのいわゆる「おばけ」ではありません。

 

幽霊じゃないし、宇宙人でもない。

突然変異のような、そうでもないような。

 

フランソワ」少年が庭で花に水やりをしていると、地中からバーバパパが誕生します。

文では何も説明はないけれど、絵を見ると地中で少しづつ成長する謎の生命体が確認できます。

 

桃色の綿菓子のようなフワフワの巨体。

フランソワはすぐにバーバパパと仲良くなりますが、フランソワのお母さんはバーバパパは大きすぎて家には置いておけないと言います。

泣く泣くバーバパパは動物園に引き取られます。

自由に形を変えられる能力を持つバーバパパは、檻を抜け出し、他の動物とコミュニケーションを取ろうと模索しますがうまくいきません。

園長に怒られ、動物園からも追い出されます。

 

行き場がなく、途方に暮れるバーバパパ。

その時火事が起こり、バーバパパは自らを非常階段に変形させ、人々を救助します。

さらに動物園から逃げ出したひょうを捕獲。

大活躍が認められ、バーバパパは町の人気者になります。

晴れてバーバパパはフランソワの家に戻り、フランソワのお父さんが作ってくれた家に住むことになります。

 

その後もバーバパパは公園で色んな遊具に変形して子どもたちと遊ぶのでした。

 

★      ★      ★

 

作者のアネットさんとタラスさんは夫婦です。

バーバパパ 」とは仏語で「パパのヒゲ」転じて「わたあめ」を差す言葉だそうです。

邦題に「おばけの」と加えたのは訳者の山下明生さんで、あの藤子不二雄の漫画を意識したのだとか。

 

この作品が世界中で爆発的人気を得た理由は、何と言ってもバーバパパのメタモルフォーゼ能力の楽しさ・痛快さでしょう。

雲のように水のように自由自在に姿を変えられるバーバパパは、人間の空想力を可視化したようなキャラクターです。

 

その視点から読むと、バーバパパが異端視され、迫害されるのは「自由で柔軟な想像力」に対する人々の冷たい目線を現わしているとも取れます。

しかし結局のところ、社会は想像力によって支えられているのです。

 

想像力という能力の個人差について、現代社会はほとんど黙殺しています。

勉強にしろスポーツにしろ、学校教育は数値化できるもの・可視化できるものだけを評価しています。

しかしその一方で「見えない能力」の差は、もはや埋めることが絶望的に困難なまでに広がっているように感じます。

 

人気シリーズ化された「バーバパパ」は、結婚し、家庭を築き、その活躍はさらに広域に及んでいきます。

やがては環境問題や教育問題などに警鐘を鳴らす存在となっていくのは、そのキャラクター性から考えればごく自然なことなのかもしれません。

 

推奨年齢:3歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

眉毛なのかまつ毛なのか度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「おばけのバーバパパ

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

〒578−0981

大阪府東大阪市島之内2−12−43

URL:http://ehonizm.com/

E-Mail:book@ehonizm.com

【絵本の紹介】「たんじょうび」【338冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

お店が3年目、息子が6歳を迎えたというわけで、今回は古典名作「たんじょうび」を紹介します。

作・絵:ハンス・フィッシャー

訳:大塚勇三

出版社:福音館書店

発行日:1965年10月1日

 

ハンス・フィッシャーさんを取り上げるのは初めてですね。

スイスを代表する絵本作家で、スイスの教科書にも彼の絵が使用されているのだとか(羨ましい……)。

世界中で訳され、愛されている彼の絵本は、もとはすべて自身の子どもたちのために作ったプライベートなもの。

 

まず、流麗な線が目を引きます。

表紙・扉絵を見てください。

一見ラフな線の動きが、実に活き活きとしたキャラクターの躍動感を生み出しています。

 

一筆書きで描いたように見える鶏や兎の絵、手を取り合って跳ねまわっている様子がありありと想像できる3匹の犬猫の絵。

フィッシャーさんの雄弁で勢いのある線は、全編通してリズミカルで、読者の目を離しません。

 

真似してグルグルと描いてみたくなりますが、どうしてどうして、フィッシャーさんのように描くのは物凄く難しい。

途中で線が止まったり迷ったりするとすぐわかります。

「崩して描く」絵本の絵はたくさんありますが、それは当然ながら「下手」とは違い、基礎としての画力がしっかりできていないと美しく崩せません。

その辺は書道と同じです。

 

さて、内容に入りましょう。

たくさんの動物たちに囲まれて暮らす「リゼッテおばあちゃん」。

犬の「ベロ」と猫の「マウリ」「ルリ」は家の中で寝、手伝いもしますがいたずらもします。

リゼッテおばあちゃんは動物たちみんなに愛情をもって接してくれます。

動物たちもリゼッテおばあちゃんが大好きです。

 

そんなリゼッテおばあちゃんは今日で76歳。

村へ買い物へ行き、牧師さんとお話をしようと、おばあちゃんは留守をベロたちに任せて出かけます。

 

そこでベロはおばあちゃんのためにサプライズバースデーパーティーを計画します。

マウリやルリ、その他の動物たちも一致団結。

でも、基本的に子どもそのものの動物たちですので、見ている読者をハラハラさせます。

 

焦がしてしまったケーキは砂糖をたっぷりかけて誤魔化します。

そしていよいよおばあちゃんが帰ってくると……。

素敵なパーティーの支度が整っています。

おたんじょうび おめでとう!

リゼッテおばあちゃん感涙。

 

さらにお芝居やイルミネーションといった演出もあり、最後は屋根裏に隠しておいたとっておきの贈り物を披露します。

それは(おそらくマウリとルリの間に生まれた)猫の赤ちゃんたちでした。

 

★      ★      ★

 

ラストシーンでは真夜中に子猫の一匹だけが起きて考え事をしている……という不思議な終わり方をしています。

これがあの「こねこのぴっち」へと続く伏線となっているのです。

 

「こねこのぴっち」は「たんじょうび」の続編として描かれたロングセラーですが、日本では「たんじょうび」よりも先に翻訳出版されています。

岩波書店の小さい絵本で読んだ方も多いのではないでしょうか。

 

「たんじょうび」「こねこのぴっち」とも、フィッシャーさんが末娘のために作った絵本です。

どちらの作品も、父親の甘やかな愛情に包まれたような幸せな世界を感じられます。

 

壁画などでも素晴らしい作品を遺したフィッシャーさんですが、健康には恵まれず、49歳にして永眠しました。

 

ちなみに作中登場する(焦がした)ケーキは「クグロフ」という種類のお菓子。

華やかで可愛らしい山のような独特の形が人気です。

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆

誕生日プレゼントにオススメ度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「たんじょうび

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

〒578−0981

大阪府東大阪市島之内2−12−43

URL:http://ehonizm.com/

絵本の森で6年間。【絵本と育児・6歳まで】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

お店と息子の誕生日は同じなので、お店ができた時に3歳だった息子は6歳になりました。

というわけで、節目のレポートを。

3歳・4歳・5歳時点でのレポートはこちら。

 

≫3歳までに絵本を1000冊読み聞かせたら

≫絵本の海を泳ぐように。【4歳までの読み聞かせ育児レポート】

≫読み聞かせ育児・5歳まで

 

当初の理念と方針はさほどブレていません。

絵本の力を大いに借りて、どうにかここまでやってきました。

 

息子は日々成長変化し、もう今では「絵本読んで」とせがんでくることは少なくなりました。

「いつでも、何冊でも、何度でも」の読み聞かせが懐かしくもあります。

 

≫たまには児童書感想文

 

ただ、子どもの自然な甘え・欲求・好奇心に可能な限り答えるという姿勢に変わりはありません。

絵本も遊びも、とことんまで付き合うのが親の役目です。

……あんまりできてませんけど。

↑自分の胎児時代の超音波写真を模写しようとしているらしい。

 

とにかく今年は息子の弱視治療(と言っても眼鏡を正しくかけて生活するだけですが)が重要課題でした。

何回フレーム直してもらいに眼鏡屋さん行ったかわかりません。

 

≫子どもの弱視について

≫子どもの弱視治療経過

≫子どもの弱視治療経過・2

 

とりあえず矯正視力で1.0は出るようになったので、一応治療は成功ということになります。

夜空の木星を見つけることができます。

 

はっきり大丈夫だなと思ったのは、先日小学校見学に行った時、教室の一番後ろから黒板の小さい字が読めたからです。

これなら眼鏡の度数も上げずに済みそうです。

 

そう、小学校を見に行ったんです。

何しろこの子は保育園も幼稚園も行ってないし、きょうだいもいないし、およそ集団生活の経験が皆無なので、親としては少々不安があるところです。

見学したのは普通の公立小学校ですが、別にいいんですけど、1年生の国語の授業だと9月の時点で「カタカナの書き方」とかやってるんですね。

そんなもんだったっけ……自分の時のことは何も覚えてませんけど。

 

息子にとって小学校生活がどういう位置づけになるかは予想できませんが、私としては「遊びに行ってこい」という心境です。

あんな性格で友だちできるかな。

↑息子作のピタゴラ装置。プラレール・トミカ・ニューブロック・積み木などを組み合わせてます。

 

我が家では大量の絵本や図鑑以外に知育教材のようなものは何もありません。

幼児塾なんか行かせません。そんな余裕ないし。

就学前の幼児教育(あんまり好きな言葉じゃないけど)は絵本だけで十分すぎるくらいだと思います。

面白くて、美しくて、言葉や知識の宝庫で、最高のコミュニケーションツールで。

めちゃくちゃ贅沢じゃないですか。

 

たくさんの絵本に触れることが、子どもの言語能力形成に非常に有効だということについては論を待たないでしょう。

まず「ことば」があるのです。

世界を理解するのも、自己の内面を知るのも、「ことば」が始まりです。

「ことば」の重要性については、いずれまた改めて記事にしてみたいと考えています。

 

息子の言語能力については、別に系統立てて教えているわけじゃないので、「何年生くらい」という量り方はできません。

少なくとも小学校で習う漢字は大部分読めるでしょう。

ただ、知識の元がほぼ児童書や図鑑なので、人名漢字とかはまったく読めないことが多いです。

「弊害」とか「画期的」とか、普段の会話の中で使ってきます。

↑息子の漫画「ピタゴラ子宮スペシャル」。

 

人体に関する図鑑が大好きで、特に最近なぜか「子宮」にハマってます。

「子宮漫画」という「画期的な分野」(息子談)を開拓。

ちなみに息子は受精についてもちゃんと知っています。

もちろん照れなんかないので、人がいるところでも大声で「精子と卵子が〜」とか言い出すので、なかなかスリリングです。

↑中身はこんなんですけど。

 

情緒面に関しては相変わらず、ゆっくりゆっくり時間をかけて成長しています。

知識は急に増えることもあるけど、感情の発達にはどうしても長い時間が必要です。

 

親は気長に、じっくりと待たなければなりません。

しかし一方で、子どもは感情面でも急成長することがありますから、油断できません。

その度に親は適切な態度で子どもに接することが求められます。

 

子どもが突然今までやってたことをやめて、「これからこうするよ」と言ったら、その意思をできる限り優先すべきです。

でも、大人は急な変化に弱いんです。

とても子どもにはついて行けません。

そのくせ、子どもの成長を焦るあまり叱ったりするんですから、まったく勝手なもんです。

 

そんなわけで、妻は今でもしょっちゅう息子と喧嘩してます。

ただ彼女が偉いのは、冷静になった後でちゃんと息子に謝るところ。

これは結構大事なことです。

たとえ息子の方がとっくに忘れてケロっとしてたとしても。

 

子どもは放っておいても成長するけど、親は努力しないと成長できません。

子どもが成長するのは自分の力であり、親が成長するのも自分の力です。

そういう意味で「育児」という言葉は、使ってはいますけど適切だとは思いません。

子どもは自分の力で育つのであり、大人はそれをほんの少しサポートするだけです。

↑息子が急に思いついて書いた詩。右から文の頭文字を読むと「おとう3(さん)」。

 

さて、来年にはいよいよ息子も小学生です。

小学生になったからといって何が変わるわけでもないかもしれませんが、やっぱり節目を迎える気持ちはあります。

これからも絵本はどんどん本棚に追加していくつもりです。

ずっと読んでなかった絵本を探し始めたりすることもあるので、赤ちゃん時代の絵本も処分はできず、増える一方で大変ですけど。

 

追伸:この前初めて乳歯が一本抜けました。

 

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

〒578−0981

大阪府東大阪市島之内2−12−43

URL:http://ehonizm.com/

E-Mail:book@ehonizm.com