【2019年】年末のご挨拶

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今日は仕事納め。

当店は明日から年末年始のお休みに入ります。

 

12月28日〜新年1月5日までの期間は出荷作業をお休みさせていただきます。

本日の午前中までにご入金が確認できました商品に関しましてはできる限り本日中に発送するつもりですので、どうぞよろしくお願いします。

また、休み中も受注・お問い合わせメールは常時受け付けていますのでご利用ください。

来年は干支が一回りして子年ですね。

ねずみ絵本は無数にあるので、紹介しがいがありますな。

 

2019年もお客様や読者の皆様に支えられて、とても楽しく仕事ができました。

誠にありがとうございます。

 

送料の値上がりとか、消費増税とか、困ることはたくさんありましたけど、どうにかやってます。

来年は発展ということを考えて、色々とやって行こうと思っています(漠然)。

 

私生活では来年はいよいよ息子が小学生ということで、大きな変化が予想されます。

ほんとに小学校行けるのかな、あれで。

という心配は消えません。

 

なんか、最近、もうね……。

いや、年の暮れに愚痴はやめときましょう。

 

小学校に通うようになったら、このブログでも色々と綴らせてもらうことでしょう。

書いてる間は冷静に自分と息子を見れるものです。

書いてる間は。

 

それでは皆様、よいお年をお迎えください。

2020年もえほにずむを宜しくお願いいたします。

 

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

■えほにずむでは、このブログで紹介した以外にも、たくさんのよい絵本を取り扱っております。ぜひ、HPも併せてご覧ください。

絵本の買取依頼もお待ちしております。

 

〒578−0981

大阪府東大阪市島之内2−12−43

URL:http://ehonizm.com/

E-Mail:book@ehonizm.com

【『ねないこだれだ』誕生50周年記念】「せなけいこ展」に行ってきました。【阪急うめだギャラリー】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

年の瀬も押し詰まってまいりました。

当店は今月28日から新年1月5日までの間は出荷作業をお休みさせていただきます。

現在ご注文を受けている商品を含め、12月27日(金)の午前中までに入金が確認できました商品につきましては年内の発送が可能です。

それ以降は年明けの発送となりますのでご注意ください。

なお、お休み中も受注・メールでのお問い合わせは常時受け付けております。

 

さて、以前の記事でお知らせしていた「『ねないこだれだ』誕生50周年記念せなけいこ展」へ行ってきました。

 

≫絵本の紹介「めがねうさぎのクリスマスったらクリスマス」

 

大阪は阪急うめだ本店の9Fのギャラリーにて2020年1月6日(月)まで開催されています。

 

≫公式HP「『ねないこだれだ』誕生50周年記念 せなけいこ展」

※我が家の息子も来年からは小学生ということを考慮して、顔写真をネット上に晒すのはやめることにしました。

 

さて、全国の子どもたちに衝撃を与えた最恐トラウマ絵本「ねないこだれだ」。

私も「おばけになってとんでいけ」の決め台詞に震え上がりつつ、何度も読み返さずにはいられなかった子どもの一人です。

 

≫絵本の紹介「ねないこだれだ」

 

今展ではそんな不朽の名作「ねないこだれだ」を含めた絵本原画約250点や、作者のせなけいこさんの来歴が紹介されています。

せなさんは1931年東京生まれ。

銀行に勤める一方、子どものための絵を描く仕事に就きたいと願い、19歳の時に童画家武井武雄氏に弟子入りします。

長い下積み時代の間に結婚・出産を経験し、母親となります。

子育てに追われながら37歳の時、「いやだいやだの絵本」4冊シリーズでついに絵本作家デビューを果たします。

 

「おかあさんのつくった絵本」が当時のキャッチコピーであり、言うこと聞かずの子どもに手を焼く母親からも共感を集める内容でしたが、もちろんそこには長い間研鑽を重ねた技術の裏付けがありました。

何でも「いやだいやだ」と言う「イヤイヤ期」の主人公「ルルちゃん」はその後の作品にも度々登場しますが、彼女はせなさんの娘さんがモデル。

にんじん」に登場するにんじん嫌いの男の子は息子さんがモデル。

 

個人的には「しつけ絵本」というか「しつけに利用する目的で絵本を読む」ことには否定的なのですが、せなさんの絵本はそういう作品とは一線を画しています。

確かに問題提起のようなものはあるし、たっぷり怖がらせる要素もあるのだけれど、そこに押しつけがましさがない。

 

「ねないこだれだ」「きれいなはこ」「ふうせんねこ」などに代表されるラストの突き放しっぷりは強烈ですが、それゆえにと言うべきか、その不条理なバッドエンドからは「だから言うことを聞きましょう」という説教の気配がないのです。

だから子どもはどこか恐がることを楽しむことさえできる。

 

せなさん自身が「ねないこだれだ」は別に子どもを脅そうと思って作っておらず、おばけに対する憧れもあっての作品だという風に語っています(「ねないこはわたし」文藝春秋)。

ちょっと理解しがたい感情ですけど、確かに子どもは恐いものが好きでもあります。

 

せなさんはそうした子どものおばけ好きをそのまま持ち続けた人で、おばけ絵本を描くようになってからはおばけや妖怪の研究にものめり込んでいきます。

落語家の夫を持ったことも影響し、「ひとつめのくに」などの昔の日本を舞台にした妖怪絵本も様々手掛けます。

 

絵本以外では紙芝居などの作品も展示されています。

私が特に惹かれたのは「ピーターラビットのおはなし」を原作とした「ぴーたーうさぎ」の紙芝居。

4点だけのカットですが、せなさん独特の貼り絵によるピーターや姉妹、マグレガーさんは必見です。

せなさんのあの貼り絵がどういう風に生み出されるのかについても、詳細に紹介してくれます。

下絵を描き、トレーシングペーパーで紙に跡をつけ、紙をちぎったり切ったりして台紙に貼り付けて行きます。

 

この手法の魅力的な点はいくつもありますが、題材にする紙の種類の多さに驚きます。

既製の紙だけでなく、包装紙でも封筒の裏でも雑誌の切れ端でも、いいと思ったものは何でも取っておくというせなさんならでは。

人気シリーズ「めがねうさぎ」の主人公の服の模様は、せなさんお気に入りの文房具店の包装紙だそうで、26年ぶりのシリーズ新作となった「めがねうさぎのクリスマスったらクリスマス」では、同じ紙を探し出すのに相当苦労したエピソードなども。

 

また、グッズ売り場では定番のぬいぐるみやポストカード、缶バッジ、マスキングテープ、マグカップなどの他、リフレクター仕様のTシャツ(おばけ柄)や「めがねうさぎ」の眼鏡ケースやスマホケースなどが並びます。

バックパックはすごく可愛かったです……散々迷って買わなかったけど。

成人男性が持つにはハードル高いぜ。

お店にまた仲間が増えました。

 

また、阪急うめだ本店9Fには展示会とのコラボカフェもやってます。

「せなけいこ展」は今後2020年8月から広島のひろしま美術館に巡回予定です。

 

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

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【絵本の紹介】「くろうまブランキ―」【355冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

今回紹介するクリスマス絵本は堀内誠一さんの絵本デビュー作でもある「くろうまブランキ―」です。

再話:伊東三郎

絵:堀内誠一

出版社:福音館書店

発行日:1967年11月1日(こどものとも傑作集)

 

再話者が伊東三郎さん、ということはこれは海外の民話か何かかと思ったら、フランスの学校の子どもたちが作ったお話だそうです。

そう言われると納得の、いい意味でのシンプルなストーリーです。

無駄が一切なく、しかし必要な要素はすべて描かれています。

 

真っ黒な仔馬のブランキー。

主人のお百姓はとても意地悪。

それでもブランキーは一生懸命に働きます。

重い荷物を引かされ、しかし自分のための小屋さえ作ってもらえない哀れなブランキー。

ひとりぼっちで、星を見上げるブランキー。

年を取り、大きな荷物を運ぶ力がなくなったブランキーを、主人が打擲します。

道の上で倒れ、放置され、死にそうになります。

その夜はちょうどクリスマスの夜でした。

空からサンタクロースが降りてきて、ブランキーを助け起こしてくれます。

 

ブランキーはサンタクロースの銀のそりを引く仕事を任されます。

もう叩かれる心配もなく、優しく扱われ、餌もたっぷり与えられ、ブランキーは幸せな眠りにつくのです。

 

★      ★      ★

 

「マッチ売りの少女」を思わせる展開ですね。

でも、これはちゃんとハッピーエンド。

 

大人が読み飛ばすと、単純すぎて物足りないという感想を抱くかもしれませんが、感受性の豊かな子どもたちは、この短い物語から「自分あてのメッセージ」を過たず読み取ります。

それは即ち「この世界は美しく、素晴らしいところである」という福音です。

 

これは幼い子どもに対し、何度も何度も伝えるべきメッセージであり、エールです。

いや、大人に対しても。

 

現代社会を生きる人間は、豊かな文明を享受する一方、常に痛めつけられています。

「生産性」という言葉に代表される価値観は、ただ素朴に実直に生きているだけのブランキーのような存在が幸せになる物語を歓迎しません。

 

困難や障壁を乗り越え、努力し、何らかの能力を示して、初めて「幸せ」に辿り着くという物語のほうが、現代的には受け入れられるのです。

実はもう大人も(子どもも)、そういう物語に疲れているのではないでしょうか。

全ての人は、ただ生きているだけで幸せになってもいいのだと、なるべきなのだと、心の奥ではそういう言葉を求めているのではないでしょうか。

 

最初に触れたように、この「くろうまブランキ―」は堀内さんの絵本作家としてのデビュー作品です。

絵本を描きたくてもなかなか苦労していた堀内さんは、この話によって開眼したと語っています(「こどものとも」1969年6月号折り込み付録)。

 

ところで、物語冒頭、広い野原に生まれたばかりのブランキーが横たわるカットがあります。

堀内さんの大ロングセラー「ぐるんぱのようちえん」が好きな方はすぐに気がつくかもしれませんが、上記の絵はぐるんぱが野原に横たわる最初のカットと酷似しています。

お持ちの方はぜひ見比べてください。

 

堀内さんが何を考えていたかはわかりませんが、これはきっと意図的なものだと思います。

何故なら、作者の他作品を読めばわかるとおり、あれほど多彩な絵柄を描き分ける才能を持ったイラストレーターが、わざわざ同じ構図のカットを二度も使うことは偶然とは考えにくいからです。

 

≫絵本の紹介「ぐるんぱのようちえん」

 

推奨年齢:4歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆

夢オチでないことを祈る度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「くろうまブランキ―

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【絵本の紹介】「クリスマスまであと九日」【354冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

師走真っ只中。

年々巡りは早くなるけれど、忙しさは増えて行くように感じます。

やることが多いのは幸せでもあるんですけどね。

 

さて、いよいよクリスマスが近づいてまいりました。

今日は16日、「クリスマスまであと九日」ですね。

作:マリー・ホール・エッツ&アウロラ・ラバスティダ

絵:マリー・ホール・エッツ

訳:田辺五十鈴

出版社:冨山房

発行日:1974年12月5日

 

エッツさん、しばらくぶりのご登場です。

これは1960年のコールデコット賞受賞作品で、メキシコのクリスマス習慣を描いた内容になっています。

 

代表作「もりのなか」をはじめ、エッツさんの作品は派手な色調を抑えたものが多いですが、この「クリスマスまであと九日」では、色鉛筆によるピンクや赤、黄色などの彩色が目を引きます。

もっとも、それでも全体としては落ち着いた画面にまとまっており、現代作品と比較すると地味な印象を持たれるかもしれません。

 

が、これは時代と言うよりも作者のスタイルでしょう。

淡いグレーの背景色は「ジルベルトとかぜ」に共通するものです。

物語後半ではこのグレーの濃淡の変化によって夜の時間を演出しています。

 

≫絵本の紹介「もりのなか」

≫絵本の紹介「ジルベルトとかぜ」

 

「クリスマスまであと九日」、副題は「セシのポサダの日」。

多くの人にとって聞いたことのない単語でしょうけど、「セシ」は主人公の少女の名前で、「ポサダ」とはメキシコのクリスマス行事です。

長ったらしい説明は後回しにして、とにかく読んでみましょう。

読み進めるうちにだんだんとメキシコの文化・生活・人情などが理解できるようになっています。

幼稚園に通うセシは、今年は自分のポサダをしてもらえるというので喜びます。

ポサダはクリスマスまでの九日間、毎晩続けて行われる特別な行事です。

 

セシは自分用の「ピニャタ」を買ってもらえるのかとそわそわしますが、母親は「いまに わかるわ」と教えてくれません。

「ピニャタ」というのは粘土の壺を中に入れた装飾品で、くす玉人形のようなもの。

この中にキャンディなどを入れておいて、お祭りのクライマックスで子どもたちが叩き割るのです。

 

セシは待ちきれない思いで毎日を過ごします。

ある日、ついに母親がピニャタを買いに「むかしからの メキシコのマーケット」にセシを連れて行きます。

色とりどりの素敵なピニャタにセシは目を奪われます。

ピニャタはセシに話しかけ、自分を選んでくれるよう頼みます。

小さな女の子の最初のポサダに選ばれたピニャタには素晴らしいことが起こるからです。

 

セシは綺麗な星をかたどったピニャタを選びます。

これは赤ん坊のイエス様の居場所を三賢者に教えたとされる星というわけです。

 

いよいよセシのポサダの日が来て、セシは星のピニャタの中にキャンディやレモン、オレンジなどを詰め込みます。

それをお父さんとお兄さんが庭の木に吊るしてくれます。

 

お祭りの最後に、子どもたちが目隠しをして棒でこれを叩き割るのです(スイカ割りと同じ要領ですね)が、セシはせっかくのピニャタを割られたくありません。

暗くなるとお客さんが集まり、メキシコの晴れ着に着替えたセシや子どもたちが行列を作り、歌いながら中庭を回ります。

最後にいよいよピニャタが割られる時が来ます。

セシは見てられなくて目を閉じます。

 

セシのピニャタが割られた時、空から本当の星がセシに話しかけます。

見てごらん!

わたしは いま、ほんとうの星に なったのよ!

 

セシはその輝く星を見上げ、「もう だれも、あの星をわることは できないわ!」「あの星は いつも あたしのものなのよ」と思うのでした。

 

★      ★      ★

 

メキシコのクリスマスは12月上旬から新年1月6日(主の公現日)にかけてほぼ一月通して行われる長いイベントです。

ポサダのみならず、物語の要所要所で描かれるメキシコの街並み、人々の暮らしや風俗人情も非常に興味深いものです。

もちろんここに描かれているのは60年くらい前のメキシコですが、ポサダは今でもちゃんと行われているようです。

 

また、セシの子どもらしい感情や行動もうまく捉えており、これはエッツさん一流の観察眼によるものでしょう。

エッツさんはこの絵本を描くにあたり、実際にメキシコまで足を運び、人々や街並みをスケッチしたそうです。

 

そうすることで、「頭の中でイメージしていたメキシコ」と「現実のメキシコ」との隙間を埋めることに成功し、現地メキシコからも高く評価される絵本が完成したのです。

というのは、当時アメリカで発行される子どもの本に描かれるメキシコは、アメリカ人の無知や偏見によって歪められた「メキシコ」であることが多く、メキシコの人々はそれに対し不満を抱いていたからです。

 

エッツさんが正しいメキシコの姿を伝えることに対し使命感を持っていたかどうかはわかりません。

ただ絵本作家として丁寧な仕事をした結果とも言えるかもしれません。

 

食べ物や音楽、ファッション、映画、アニメ、漫画、それに絵本。

他国への興味と理解、尊重心はそのほとんどが文化交流から始まります。

 

その影響力は政治的なプロパガンダよりも深く、遥かに根強い力を持っています。

独裁的な権力者が多様な文化を嫌うのは、それを心の底から恐れているからです。

 

昔の話をしているのではありません。

遠い国の話をしているのでもありません。

 

幼い頃から豊かな芸術体験をしておくことが重要なのは、何も文化資本を獲得するためだけではなく、偏見に曇らされない「物を見る目」を培うためです。

美術館やクラシック・コンサートに頻繁に足を運ぶことは大変でも、「毎日絵本を読む」ことくらいは何とかなるのではないでしょうか。

 

推奨年齢:6歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆

クリスマスを大切に思う気持ち度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「クリスマスまであと九日

■これまでに紹介した絵本のまとめはこちら→「00冊分の絵本の紹介記事一覧

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【絵本の紹介】「サンタクロースと小人たち」【353冊目】

 

こんにちは、絵本専門店・えほにずむの店主です。

 

北欧の国フィンランドで、34歳の女性首相が就任しましたね。

閣僚の半分以上が女性、平均年齢47歳という、これぞ先進国という布陣。

 

やっぱり期待感が違いますよね。

日本の閣僚集合写真なんか見ても、狐狸妖怪の集会みたいでフレッシュさというものがないですものね。

 

フィンランドと言えば教育水準の高さが今や世界トップクラスであることでも有名で、私も大いに興味を持っています。

学費は無料、校風は自由、受験や宿題で生徒を縛るのではなく、主体的に学ぶことを重視する教育。

いちいち頷きたくなることばかりです。

こうやってちゃんと正しい方向で結果を出している国があるんだから、日本も学べばいいのに、ねえ……。

 

ま、もっともこうした教育で優れた人材がどんどん出てきてしまうと、既存の政府機関や支配階級にいる人々が残らず淘汰されてしまうことは火を見るより明らかですから、熱心になれないのも無理ないかもしれませんけどね。

 

教育について書き出すと熱くなってしまうので(そして日本の現状に嫌気が差してしまうので)、さっさと絵本紹介に移りましょう。

フィンランドで他にも有名なものと言えばオーロラ、そしてもちろんサンタクロース。

今回はフィンランドのクリスマス絵本「サンタクロースと小人たち」を紹介します。

作・絵:マウリ・クンナス

訳:稲垣晴美

出版社:偕成社

発行日:1982年

 

この絵本はサンタクロースの普段の生活、仕事ぶりを研究対象的に描いた作品です。

絵も話も非常に細かく、情報量が多いので、じっくりと読むとなかなか時間がかかります。

 

フィンランドの北外れ「コルバトントリ」山のふもとに、サンタクロースの村があります。

住んでいるのはサンタさんだけではなく、彼の奥さんと、何百人もの小人たちやトナカイ。

 

小人たちは世界中の子どもたちへプレゼントを用意する技能集団。

会社というのもイメージが違うし、昔の日本の大店とも違う。

村には子どものための学校もあって、将来的にサンタクロースを支えるための勉強をしているのです。

プレゼントを作ったり、地理を学んだり。

おもちゃ、印刷物、人形、楽器……。

プレゼントを作り、保管し、時には夏休みを取ったりしながら、クリスマスに備えます。

 

世界中の子どもたちの調査、プレゼントの梱包、ただプレゼントを配るという仕事にも、これだけたくさんの人が関わっていることを知ることができます。

いよいよクリスマスイブが来ます。

トナカイとそりという伝統的スタイルは崩しませんが、実は現地までは飛行機に乗っている様子。

小人たちも手分けして、一晩で世界中を回ります。

どう考えても時間が足りないのですが、そこは「クリスマスのまほう」ということらしいです。

 

ちゃんと行先に日本も含まれています。

全てのプレゼントを配り終えると、サンタさんと小人たちは村に帰り、自分たちのクリスマスを盛大に祝います。

 

★      ★      ★

 

サンタクロースの出身地はフィンランドの他にグリーンランド説や北極説もあるようですが、いずれにしましても寒い中大変だろうと思います。

しかしあの寒さがあるからこそ、クリスマスの灯が映えるとも言えます。

都会でのクリスマスも悪くはないですが、あの情緒は雪国特有のものですね。

 

いやあ、フィンランド、いいですね。

建築、家具、それに音楽も素敵だし、自然は豊かだし、前述した通り教育や福祉面でも高水準だし。

国民幸福度連続1位は伊達じゃない(ちなみに日本は58位で、年々順位を下げております。さもありなん)。

 

おまけに絵本まで可愛いなんて……。

本気で叶うなら移住して、息子にはフィンランドの義務教育を受けさせてやりたいです。

 

寒いのは苦手だけど。

 

推奨年齢:5歳〜

読み聞かせ難易度:☆☆☆☆

ヒゲだらけ度:☆☆☆☆☆

 

■今回紹介した絵本の購入はこちらからどうぞ→「サンタクロースと小人たち

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